パリジェンヌに親子代々愛され続けてきた、今では数少ないファミリー経営のメゾン仏「ヴェイユ」は、1892年創業以来の初めてのショーを開催した。
会場はホテルリッツのサロン。「ランバン」「アザロ」で経験を積んたアーティスティックディレクター、マチルド・カステロ・ブランコによる3シーズン目となる19~20年秋冬は、60年代がテーマ。当時の映画女優を思わせるパリジェンヌらしいスーツとローブを中心にした31ルックを出した。
グレーのニュアンスのチェックやヘリンボーン、ストライプ柄のトラッドなテーラードは、柔らかなビックシルエットで女性らしさを表現する。アニマルモチーフのカーディガンやフェイクファーのショートコートと合わせた。
60年代の傑作フィルム「昼顔」で見せたカトリーヌ・ドヌーヴのファッションを、黒いエナメルのジップアップジャケットとミニスカートに帽子を組み合わせたアンサンブルで、モダンに再解釈した。

(パリ=松井孝予通信員)