島精機製作所は、オリジナルニットブランド「サマンドール」を刷新した。無縫製ニット「ホールガーメント」の技術を生かした上質なブランドとして発信力を高めるため、ファッションビジネスコンサルティング会社、J&Co.ファッションオフィスの北澤淳子代表をディレクターに、若手デザイナーの江角泰俊をに迎えて、改めて「本物を知る大人の女性」に向けて秋冬の新作を作った。
テーマはアリュール(魅惑)。着心地にこだわったエレガントなニットが揃った。ハニカム状に起伏するボートネックセーターやケーブル編みのカシミヤニットコートなど、従来の「ホールガーメント」の商品にはあまり見られなかった組織変化が新鮮だ。ロロ・ピアーナのカシミヤシルクの糸を使ったツインニットなどシンプルな商品も目を引く。脇や肩のラインに縫い目がないため、軽くて着心地が良い。13型、各3~4色。秋冬の中心価格は5万円前後になる。
今回の刷新は、ブランドを通してホールガーメントの知名度を高めて、最終的に編み機の販売につなげることが目的の一つ。島精機製作所営業統括部製品開発グループ道津正浩課長は「今までにないホールガーメントの可能性を引き出して提案したい」という。 北澤さんは「ホールガーメントはデザインをプログラミングしてしまえば人件費が掛からなくなる。日本製のニットが日本の供給量の1%以下になるなか、国内生産の規模拡大につながる可能性がある。認知度を上げることが日本の生産地の活性化につながる」と期待する。
売り場は既存の日本橋高島屋の直営店に加え、百貨店インショップの出店を進める。西日本では卸も含めて模索する。将来的には海外進出も目指す。
サマンドールとともに、ホールガーメントを使ったカジュアルなニットブランド「イゾラベラ」も刷新した。ボーダーのニットワンピースなど30型、中心価格は2万円前後。同ブランドはホールガーメントの裾野を広げることを目的に、既存の卸し先80店を、最終的に1000店まで増やすのが目標だ。