【ロンドン=若月美奈通信員】19~20年秋冬ロンドン・コレクションのプレゼンテーションは、サステイナブル(持続可能)への取り組みが広がるなか、若手が率先してその流れをリードしていることを印象づけた。
トレンドはハンドクラフトや70年代バナルといったぬくもりと、シャープで無機的なスタイルに目を向けたフューチャーリアリティーが共存している。
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ベザニー・ウィリアムスは、物作りにおけるサステイナブルを超え、社会へのアプローチを掲げるアクティビストとして新進デザイナーをリードする。
紙を織り込んだコートやモダンアートのような色鮮やかなペイントデニム、ざっくりとしたハンドニットが中心のコレクションのテーマは「アデライデ・ハウス」。リバプールにある刑務所を出所した女性や家庭内暴力から逃れてきた女性たちを受け入れるシェルターだ。
ホームレスで住所不定のために図書館を利用できない人に本を貸し出すチャリティーをテーマにした前回に続く、援助を必要とする施設を広く知らしめる試みだ。具体的にはリバプールの新聞社から出た廃棄物を材料に使ったり、イラストレーターのジョージア・チアリオンが描くアデライデ・ハウスの女性たちのイラストを乗せたり。
素材はリサイクルかオーガニック。テキスタイルは引き続きイタリアの薬物中毒更生施設内の工場で生産し、縫製は英国の刑務所内の工場で行っている。売り上げの20%がアデライデ・ハウスに寄付される。