19~20年秋冬ミラノ・メンズコレクション オリジンを今のスタイルで

2019/01/17 06:29 更新


 【ミラノ=小笠原拓郎】19~20年秋冬ミラノ・メンズコレクションは、エレガンスへの流れを決定付ける新しいスタイルを出せないまま終了した。テーラーリングは軸にあるが、それぞれのブランドのオリジナルの持ち味を背景に、今のスタイルをどう描くかが問われている。

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 ヌメロ・ヴェントゥーノはミニマルなカットの中に、アレッサンドロ・デラクアらしさを散りばめた。グレー、黒、ベージュ、同じトーンの色でミニマルさを強調しながら、そこに赤とグリーンを差してアクセントにする。ニットは襟ぐりの大きな半袖セーターとTシャツの微妙な重ね着、タンクトップも2枚を重ねシンプルに収めながらレイヤードを楽しむ。細身のミニマルなテーラードスタイルはどこか90年代のヘルムート・ラングを思い出させるが、考えてみればデラクアのデビューも90年代後半。レースのシャツやパテントの光沢を加えてラングのミニマルとは違うデラクアらしさを表現する。船の碇(いかり)柄のジャカードセーターやN-2Bブルゾンなど、ミリタリーやマリンの要素を少しだけ加えている。

ヌメロ・ヴェントゥーノ
ヌメロ・ヴェントゥーノ

 フェンディはデュアリズム(二面性)をキーワードにしたコレクションを見せた。前身頃と後ろ身頃の両方にジップアップのディテールをつけたブルゾン、左右がバイカラーになったジャケットやブルゾンなど二面性を感じさせるデザインが揃う。コートやコンビネゾンも部分的にオーガンディで切り替えたデザインだ。モザイクのような複雑な柄のバッグやブルゾンもインパクトがある。カール・ラガーフェルドのパリのアトリエからイメージした手描きのスケッチをコラージュのようにのせた。新しいロゴはFの文字をフューチャーリスティックに表現したもの。

フェンディ

(写真=catwalking.com)



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