19年春夏NYコレクション 若手への期待高まる

2018/09/13 06:30 更新


 【ニューヨーク=小笠原拓郎、杉本佳子通信員】19年春夏ニューヨーク・コレクションはショー形式で発表するブランドが減り、プレゼンテーションや展示会での発表が増えている。注目したいのは若手デザイナー。コレクション日程のすき間に若手デザイナーのプレゼンを入れて、ファッションウィークを充実させようとしている。

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 コーチ1941は、いつものようにクラフトテクニックとアメリカを背景にしたスタイルを組み合わせた。「ロマンティックギャング」「草原を旅するドリーマー」といったキーワードで、リアルクローズにイノセントでロマンティックな変化をつける。たくさんのマキシ丈のコットンドレスやマキシスカートのナチュラルなイメージに、シアリングベストやフリンジ飾りのバイカージャケットを重ねていく。パッチワークデニムやパッチワークレザーをジャンプスーツやミニドレスに仕立て、クラフトテクニックをロマンティックに表現する。ランジェリードレスの官能的なムードと猫の柄のフーディがコントラストを描く。

コーチ1941

 ガブリエラ・ハーストはシンプルななかにディテールやカットで変化をつけた。ポプリンにたっぷりのプリーツを入れて、ワンショルダードレスやセットアップに仕立てる。トレンチコートは手描き風に大胆に色を乗せ変えた。ボーンを入れたコルセットのようなディテールで、ストレートカットの白いドレスを変化させていく。テーラードスーツは襟をそのまま伸ばしてベルトのように体に巻きつけ、シャツドレスには共地のシャツをウエストに巻きつける。ウエストを折り返したかのようにボリュームを変えたリブニットのドレス、小さなパールを刺繍したドレス、シルク・リネンのデニムのシャツとパンツのセットアップ。いずれもきらびやかな主張はしないけれど、静かに何かを語りかけるような雰囲気を持っている。

ガブリエラ・ハースト

 LVMHヤングファッションデザイナープライズにノミネートされたこともあるコウザブロウは、初めてニューヨーク・コレクション期間中にプレゼンテーションをした。50年代を背景にしたダークなロックの気分の漂うコレクション。ライダーズジャケット、パイピングのシャツ、ぼろぼろのブーツと穴のあいたTシャツ。テーラードジャケットのラペルは太く、今どきなかなか見かけないコンチョのループタイを巻きつける。胸元がはだけたシャツのマスキュリンスタイルとともに、けだるいムードが支配する。その独特の世界は、ジム・ジャームッシュのモノクロの世界やダークなフィフティーズのロカビリーを思い出させる。

コウザブロウ

 ザ・ロウは展示会形式で見せた。ボリュームシルエットとテーラーリングというザ・ロウのキーワードを背景にして、いつものように上質な素材を生かしたコレクション。シルクのダブルフェイスドレスはマキシ丈のゆったりとした分量。シアー素材をレイヤードし、そのボリューム感で迫力を作る。ギャザードレープのブラウスとラップスカートのセットアップ、ピーコックカラーのパンツとスカートのレイヤード、ベアトップのドレスやジャンプスーツなどを揃えた。

ザ・ロウ

 アナ・スイの会場にはバザールかのみの市を思わせる出店が並んでいる。アナとコラボレーションしているデザイナーたちの作ったアクセサリーや服がその場で買えるという趣向で、ショー開始前は多くの来場者でごったがえした。モデルたちが置かれているものを手に取ったり品定めしたりして、ショーがスタート。楽しい宝探しの気分を、インターナショナルトラベラーの目線で表現した。服はレトロなムードのプリントがいっぱい。花柄のドレスやマルチポケットのベスト、頭にはターバンやバケットハットで無国籍な気分でまとめている。

アナ・スイ

 タダシ・ショージ 銀河系のイメージをプリントとスパンコール、ドレープ、繊細なレース、ラメジャージーで表現する。ボディーラインをなぞるシンプルなタイトドレスと長いスリットを入れたロングドレスが並び、イブニングドレスが増えた。色はピンク、ブルー、黒、ヌードカラーが多く、グラデーションも美しい。

タダシ・ショージ

 アディアム 90年代のナイトクラブに着想し、華やかで気の強そうな女性像を描いた。PVC(ポリ塩化ビニル)のコルセット、ワイドパンツ、オーバーサイズのリボン、量感のあるパフスリーブなど、シルエットもパーツも大きく迫力がある。肩と胸元を露出した女性らしさと、グレンチェックで表現する男性的な要素をミックスした。

アディアム

 ティビ ボーイフレンドから借りたテーラーカラージャケットやシャツを、自分流に改造して着こなしたかのようなコレクション。その意図を強調するためか、テーラードジャケットを着た男性モデルたちも登場した。ソフトな中間色とフェミニンなドレスも入れて、女性らしい気分ものぞかせる。

ティビ

(写真=catwalking.com、ランディ・ブルック)



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