【ロンドン=小笠原拓郎】20年春夏ロンドン・コレクションは、いつになくそのブランドの原点を感じさせるコレクションが多い。ガーリーなムードを背景にしたモリー・ゴダードやマルケス・アルメイダから、ケミカルな要素と官能性を行き来するクリストファー・ケインまで、いずれもそのブランドのオリジンへと立ち返ったようだ。
(写真=ブランド提供)
クリストファー・ケインのショー会場に入ると、壁には青空や花畑の写真が映し出されている。そこに登場するのは、同じ花畑のプリントをのせたドレスや青空のプリントのミニドレス。今回のケインのコレクションのアクセントとなったのは、数年前にも見せたことのあるPVC(ポリ塩化ビニル)のカラーパーツを使ったアクセサリーやディテール。ミニドレスの胸元やヘム部分にブルーやイエローのPVCパーツをビジューのように飾る。ハードなブーツにも色鮮やかなPVCパーツがはめ込まれる。
もう一つの象徴的なディテールはメタリックの球体のボタン。ミニドレスやコートにアクセサリーのように輝く。メタルシートとフェザーを切り替えたミニドレスも含めて、ケミカルな色や光沢とセンシュアルなミニのシルエットがいかにもケインらしいラインを生み出す。ほかにも地球の柄や星の柄など、どこかスケールの大きな自然と対照的なフェミニンなカットで見せる。画期的に新しい何かに踏み出したわけではないけれど、ケインの原点を感じさせる。



【続きは繊研新聞・電子版で】