【ニューヨーク=小笠原拓郎、杉本佳子通信員】20年春夏ニューヨーク・コレクションは、この秋冬のトレンドを引きずるかのような80年代のムードが続いている。肩にボリュームを置いたシルエット、ペグトップやハーレムパンツといったアイテムが広がっている。秋冬との違いは、ダークで強いイメージが抑えられて柔らかな色使いを生かしていることだ。
(写真=シース・マルジャンは大原広和、その他はブランド提供)
シース・マルジャンはキッチュでポップな色と素材に得意のドレープをのせてユーモアたっぷりのエレガンスを見せた。型押しとプリントで描いたクロコダイルやパイソンをスーツやコートに仕立てる。ピンクやブルーの人工的な色やパテントの質感が、ゴージャスなクロコダイルをキッチュに変える。そこにリングを使ってギャザーを寄せたドレスやフルイドラインのロングシャツがコントラストを作る。ブルーサテンのドレスやコンビネゾンの光沢とともに、マットなデニムのパンツスーツやコートがアクセントとなる。「春夏コレクションは、バッドテイストや風刺、リアリティTV、キッチュへの皮肉」とデザイナーのサンダー・ラック。メーキャップやネイルのポリッシュからイメージした色を生かしてアイロニーたっぷりのポップエレガンスを描いた。


トリー・バーチは80年代のレトロなムードにのせてフェミニンなラインを揃えた。ツイードチェックのトリミングジャケットにボウブラウスなど、どこか懐かしくコンサバティブな雰囲気が漂う。たくさんのフラワープリントはイングリッシュガーデンからイメージしたもの。ギャザーを入れたパフスリーブのブラウスやオーガンディのハンカチをつなげたドレスなど、繊細なディテールを生かしたアイテムが登場する。そこにジャカードのパンツスーツやロープのようなベルトを巻き付けて、マスキュリンの要素をほんのりプラス。故ダイアナ妃からイメージしたコレクション。

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