【21年春夏パリ・コレクション】ドリス・ヴァン・ノッテン にじむ色を重ねてオプティミズム描く

2020/10/06 11:00 更新


 フィジカルなショーが困難な中、21年春夏パリ・コレクションでデジタルの活用方法が注目される。ショーをそのまま映像として配信するブランドもあれば、シーズンコンセプトをわずか数分のイメージ映像で提供する手法もある。服のリアリティーを伝えきれないのであれば、デジタルでは服よりもコンセプトを凝縮して見せるというのも一つのやり方だ。

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 ドリス・ヴァン・ノッテンは、ヴィヴィアン・サッセンによる幻想的なフィルムで新作を披露した。服をまとった人の動きと鮮やかな色を組み合わせた映像が、ポジティブなムードを描く。後ほど届いたルックブックからも、開放的な気分と鮮やかな色の動きが感じられた。オランダのビーチで撮影した写真には、絞りのようににじむ色のコントラストが美しい軽やかなスタイルが揃う。

 ブルーストライプのシャツドレスにはフィッシュネットをレイヤード、そこに部分的に箔(はく)シルバーを加えてアクセントを作る。マルチストライプのジャージードレスやタンクトップは軽快な気分。オーガンディのラッフルドレスには、まるで移染したかのような複雑な色が重ねられる。その色の移り変わりが影絵のように見えてどこかノスタルジックな気分を誘う。

 ニュージーランド出身のアーティストのレン・ライによるフィルムが着想源。フィルムに直接、色を塗ったりスクラッチする手法で、サイケデリックムーブメントの先駆けとなったアートだ。美しく動きのある色を重ねた服から「服を通じて描くオプティミズム(楽観主義)」が伝わってくる。

ドリス・ヴァン・ノッテン
ドリス・ヴァン・ノッテン
ドリス・ヴァン・ノッテン
ドリス・ヴァン・ノッテン

 クロエはパリの街の風景の中に溶け込むようにたたずむモデルたちの映像を流した。緑の木々とセーヌ川の岸辺、そこを歩くモデルたち。何気なくたたずんだり歩いたりするモデルたちのスタイルから、いつになくはノンシャラン(飾らない)なムードが伝わってくる。やがてその映像が、パレドトーキョーのリアルなショー会場へと続いていくという演出。

 袖をロールアップしたジャケット、ストレートシルエットのミディドレス、スキッパーとハイウエストパンツ。すっきりとしたフォルムの快活なスタイルが揃う。ピンク、ピンクブラウン、ベージュ、白といったニュアンスカラーがリラックスした気分を運ぶ。ピエロカラーの白いブラウスやショート丈のライダーズジャケットなどエレガンスとアクティブの振れ幅の中で遊んだ。ミラー刺繍のドレスなどこのメゾンらしいクチュリエの技術も取り入れられているが、それよりもパリの日常を感じさせるコレクション。

クロエ

(小笠原拓郎、写真=ドリス・ヴァン・ノッテンはブランド提供、Viviane Sassen写す。クロエは大原広和)



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