【トップインタビュー】西川産業 西川 八一行代表取締役社長

2018/07/27 06:00 更新




 西川産業は一昨年、創業450年の節目を迎えた。質の高い眠りを実現するコンディショニングマットレス「エアー」をヒットさせ、睡眠のソリューションサービス「ねむりの相談所」を開始し、快眠を軸に美と健康をトータルに提案する。今後に見据えるのは、睡眠分野のIoTを通じた「睡眠先進国」=日本の発信だ。

「睡眠の価値」の高まり、コンサルティングを一層強化

 西川グループは創業452年を迎え、将来の500周年に向けて新たな歩みを進めています。昨年は、「睡眠負債」が流行語大賞にノミネートされるほど、「睡眠の価値」に対する関心が一気に高まりました。健康で豊かな生活のために、睡眠が大切だと多くの人が気付き始め、寝具業界にとって大きな意味のある1年だったと思っています。安心、安全、健康への意識の高まりは私たちの想定以上でした。昨年3月に有楽町マルイに「&Free(アンドフリー) ねむりの相談所」をオープンしました。当社は枕やマットレス、掛けふとんなど寝具を総合的に開発してきた一方で、長年、眠りの基礎研究にも取り組んできました。ねむりの相談所は、国の規制改革であるグレーゾーン解消制度を活用し承認を得たその集大成ともいえるサービスです。睡眠時のデータを収集するデバイスをお客様に貸し出して測定し、お客様の睡眠や睡眠環境を「見える化」することで、より詳細なコンサルティングを提供しています。オープン以来、高齢者だけでなく、働き盛りの20代~30代のお客様も訪れています。体に合わせたオーダーメイドやコンサルティングなどサービスと一緒になってお客様に寄り添うことで睡眠のパートナーとなりたいと思っています。また機能性を追求した商品の開発で健康提案を強く打ち出してきましたが、これからはファッション性も重要になっていきます。多くの人に賛同していただけるスタイルやシーンを考えて商品開発をする仕組みをつくり、暮らし全体のワクワク感を演出することで様々な方に響く商品を展開できるでしょう。

「ねむりの相談所」で睡眠のトータルソリューションを追及する

IoT化を加速、「眠りのプロ」として寄り添う

 睡眠分野のIoTは寝装寝具にとどまらない、美と健康の市場における大きなテーマの一つです。テクノロジーを活かした快適環境や寝具の開発を通じて、365日自分の体を管理していく時代がまもなくやってきます。

 当社もパナソニック様との協業をスタートさせるなど、寝具メーカーから総合睡眠ソリューション業へ変化しつつあります。また今年5月には、内閣府認定「科学技術イノベーション総合戦略2017」の特別選定プロジェクトに、当社の健康社会構築のための睡眠時バイタルデータ収集と解析、利活用に関する研究が選ばれました。このプロジェクトの目的は、睡眠を契機として個人の健康意識を向上させることにより、健康寿命の延伸に貢献することです。現在の大きな課題である医療費増加、就労人口減少、労働生産性の低下、重大事故発生などの対応策の一部になると考えています。今後は、エビデンスに基づいた機能に優位性のある商品やサービスを、日本睡眠科学研究所監修のもと“SLEEP TECH”と認証してまいります。寝具のIoT化を進め、睡眠記録から健康データを抽出するなど、医療との連携をいっそう図ることで、社会への貢献を目指します。

大谷翔平選手を起用するコンディショニングマットレス「エアー」

 2020年には、東京オリンピック・パラリンピックも開催され、世界に発信するチャンスです。日本を代表する「世界の西川」になれるよう、力強く発信していくのと同時に、お客様の睡眠のパートナーとして一緒に寄り添って進んで行きたいと思っています。

西川産業株式会社
代表取締役社長 西川 八一行 氏
1967年生まれ。1990年早稲田大学法学部卒業後、住友銀行入行。ニューヨーク支店、国際総括部などを経て、95年西川産業に入社。97年常務取締役、99年専務取締役を歴任。副社長を経て、2006年より代表取締役社長。


(繊研新聞本紙7月20日付け)



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