【トップインタビュー】ユニチカ 注連浩行代表取締役社長執行役員

2018/08/02 06:00 更新



 来年で創立130周年を迎えるユニチカ――時代の変化に対応しながら技術を転換し、新しい領域へ広げてきた。この間、取り組んできた改革では収益力を高め、17年度(18年3月期)には営業利益9.1%を確保するまでに体質が強化された。今後はこの収益力をベースに、売り上げ拡大による成長を目指す。注連浩行社長に成長戦略について聞いた。

売り上げ反転へ、成長狙う

 前の中期計画で実行した事業ポートフォリオ改革によって、しっかり利益が出る会社になりました。このため、前中計を1年前倒して新中計に移行し、17年度から3カ年の「ジーラウンド・トウェンティ~トゥザネクストステージ」をスタートしています。

 この3カ年は売り上げを反転し、成長させるのが大きなテーマ。〝3つのG〟の実現を目指していますが、第一のGで「事業成長戦略の推進」(Growth)を掲げています。初年度は、想定以上の原料価格の上昇と成長戦略の遅れがあり、計画に対してずれ込んでいますが、最終年度には売上高1400億円、営業利益134億円の目標をキャッチアップしたいと思っています。市況そのものは悪くありませんし、フィルム、機能材なども順調に進んでいます。

海外売上高比率を早期に30%に

 〝3つのG〟の二つ目は「グローバル事業展開の強化・推進」です。現在、海外売上高比率は23%ほどですが、これを早期に30%に引き上げる方針です。繊維、フィルム、不織布はすでに海外生産拠点を持って活動していますが、昨年大型増設を実施したポリエステルスパンボンド製造のタスコ(タイ)、2年後に増設分が稼働するナイロンフィルムのエンブレムアジア(インドネシア)が立ち上がれば、次の成長が見えてきます。

 販売面では欧州の独デュッセルドルフ事務所に加え、昨年は米国にニューヨーク事務所を開設しました。現状、商流は代理店などを経由した販売ですが、ゆくゆくは自力で売っていく体制も整えたいと思っています。

増設によりスパンボンドの生産能力が1万トンとなったタスコ
世界トップレベルシェアのナイロンフィルムを製造するエンブレムアジア

開発強化で成長の種まき

 繊維事業については前中計で構造改革を実施し、衣料繊維、産業繊維とも収益体質が確立しましたから、これから反転攻勢していく構えです。衣料繊維の分野では原糸・原綿から開発に力を入れながら、成長の伸びしろとしては産業繊維に期待しています。岡崎事業所の産業用ポリエステル繊維の増設を決めたのもその一環です。

 来年で創立130年になります。時代の変化に対応しながら、これまで培った技術を生かして成長することが大事だったと思います。繊維だけにこだわらず、例えば紡糸技術を生かしてガラス繊維や活性炭繊維を展開してきましたし、合繊の重合技術はフィルムや不織布に生かされています。これからも既存事業から横の広がりを作っていきたい。

昨年開設したニューヨーク事務所の外観

 今回の中計では、成長戦略と併せて開発強化を重点に据えています。ここにしっかり経営資源を注入し、20年度以降の成長の種まきをしたい。そのために研究開発の進め方も変えていくつもりです。開発テーマごとに時期やステージの目標を設定し、事業化した際にどれぐらいの利益が見込めるのかを見通しながら進めていきます。

profile
しめ ひろゆき
1952年2月 兵庫県生まれ
1975年3月 関西学院大学 商学部 卒業
     4月 ユニチカ株式会社入社
2001年1月 総合企画部長 兼 情報システム推進部長
2003年1月 経営企画本部長 兼 企画部長 兼 企画部(ドメイン運営グループ)グループ長
     4月 執行役員
2005年4月 常務執行役員
2006年6月 上席執行役員(役位呼称の変更による)
2008年6月 取締役上席執行役員
2012年7月 取締役常務執行役員

https://www.unitika.co.jp

(繊研新聞本紙8月2日付け)




この記事に関連する記事