カラフルな色柄や造形美を追求してきたヒロココシノ(コシノヒロコ)が、すっきりとしたコレクションを見せた。ほかのブランドと比べればシンプルとは言えないまでも、装飾をそぎ落としてロング・アンド・リーンのシルエットを際立たせた。
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ピアノの生演奏に合わせて登場したのは、ライトグレーのレイヤードスタイル。柔らかな質感のプルオーバーにロングスカート、レギンスを重ねて、トーン・オン・トーンのスタイルを作っていく。
影のように入れたスクエア状のプリントやボックスプリーツが唯一のアクセント。この冒頭のシリーズで変化を印象づけた。重厚なブロケードを部分的に飾ったドレスも引き算が利いていて軽やか。タイトなドレスは、テープ状のラッフルが袖口やサイドでさりげなくに揺れる。

ランウェーの背景にいつも、ブランドのブティックのあるパリ・ギャラリーヴィヴィエンヌの画像を使うユキ・トリイ・インターナショナル(鳥居ユキ)。パリシックをきれいな配色と柄ミックスで描き出す得意のスタイルは今回、トーン・オン・トーンが新鮮だ。ブラウン系に赤またはグリーンの組み合わせも目を引く。
タックスカート、ストレートシルエットやウェスタン調のフリンジ付きフレアなどのスカートスタイルがメインで、シックなチェックツイードのジャケット、コートとコーディネートし、首にスカーフ。プリント柄は25年前に鳥居自身が作り展覧会に出したパッチワークをもとにしたもの。柔らかなシャツドレスやカーディガンにした。

タエ・アシダ(芦田多恵)は、ストリートっぽいオーバーサイズのボアのコートや中わたで膨らむスポーティーなジャケットスタイルから始まった。レパード柄のアウターとスカーフ柄ドレス、マスキュリンなチャコールのテーラードジャケットからエレガントなベルベットのドレスまで、様々なスタイルを次々登場させる。
1体目は男性モデル、女性もオールバックのハンサムヘアや丸刈りというのも今回のメッセージである多様性を象徴する。素材や色合わせ、ボザムにレースを配したスタンドカラーブラウスや重厚なジャカードのショールカラージャケットといったアイテムに、クラシックなムードが共通する。ショーはライブ配信した。

(青木規子、赤間りか)