経済産業省の協力で行われている「アジアン・ファッション・ミーツ・トウキョウ」は、インドネシアの「ジャカルタ・ファッション・ウィーク」との交換プログラム。6年目を迎えた今回は、キャラクターの違う二つのブランドが登場したが、どちらもテーマにしたのは「日本」だ。
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「エリ」は、子供のころに聞いたという「竹取物語」。東インドネシアの伝統の織物を使い、きものの要素をモダンにアレンジ。折り紙のようなディテールが目を引いた。

デザイナーデュオ「ダンジョ・ヒヨジ」は東京五輪をインスピレーションにしたグラフィックをインドネシア産の素材にプリントし、スポーツウェアがベースのスタイルを覆う。また、研修生として来日しているデザイナーたちは、東京や大阪でビジネスネットワークの構築を目的としたトレーニングにも参加している。

タイで政府関係の伝統文化となると、必ず名を連ねるのが「ウィシャラウィシュ」だ。伝統素材に精通しているだけでなく、パリの高等専門学校を卒業し、イエールフェスティバルのファイナリストやマンゴー・ファッション・アワードのグランプリに輝いた実力派でもある。
コレクションに使われている生地は100%タイ産、うち80%はハンドメイドだという。もちろんそのまま使うのではなく、カラーや織り柄を現代風にアレンジ。その職人とのやりとりは困難を極めたようだ。
これまで何度かコレクションを見たが、若干時代感が見えていないように思えた。しかし今回はリッチな織物のテーラーリングやオーバーサイズのラッフルドレス、カラフルかつ軽やかなシャツと、トレンド要素を取り入れうまくまとめた。

(ライター・益井祐)
「ハハ」補正と車いすでの着用をテーマに
東京・多摩地域の産官学協業ブランド「ハハ」は、二葉ファッションアカデミーの学生5人によるコレクションを見せた。
着る人を制限しないユニバーサルモードを目指し、今回は姿勢の補正と車いすでの着用をテーマに、スポーツとドレスアップのミックススタイルを提案。裾を折り上げると車いす用になるロング兼ショートコートや、背中のマジックテープで着脱できるものや、袖口が開いてタイヤに当たらないようにした車いす用アウターが多数登場。コートやドレスの上から、コルセットを重ねる着こなしが新鮮。

(河邑陽子、写真=加茂ヒロユキ)