クールビズが定着して以来、スーツ離れに拍車がかかり業績不振が続く紳士服業界。テーラードスーツを軸とした従来型の商品開発や価格訴求による販売手法を転換する時期に直面している。大手紳士服専門店の青山商事は1日、複雑で不透明だった価格表示を大規模に改定した。その設定を見直し、誰もがわかりやすく、フェアで安心できる新価格をスタートする。
(大竹清臣)
〝複雑さ〟が課題
90年代以降、低価格を武器に急成長してきた郊外型紳士服専門店は同業他社との激しい価格競争を繰り広げた。結果、生き残った数社によって紳士スーツ市場で圧倒的なシェアを占めるまでになった。ただし、2着目を大幅に割り引くバンドル販売をはじめ、折り込みチラシやウェブサイトなどの割引クーポンを前提とした価格の複雑さが課題だった。
これは顧客にストレスを与えるだけでなく、店頭の販売員にも会計時に負担をかけるようにもなっていた。
最近の消費動向の変化も大きく影響し、適正価格に対する意識が今まで以上に厳しくなっている。特に、デジタルネイティブといわれるミレニアル世代など、賢い消費者は必ず事前にネット上で調べるのが常識。フリマアプリなどの二次流通の利用も当たり前になり、コストパフォーマンスへの意識は高まるばかりだ。
この記事は有料会員限定記事です。繊研電子版をご契約いただくと続きを読むことができます。
すべての記事が読み放題の「繊研電子版」
単体プランならご契約当月末まで無料!