【PR】旭化成 「ベンベルグ」のイージーケア性が向上

2021/09/30 00:00 更新


 旭化成の「ベンベルグ」が今年、さらなる進化を遂げた。滑らかな肌触りや爽やかな着心地、美しい光沢と発色といった長年親しまれてきた特長はそのままに、「洗える」機能が加わった。実現したのは、日本の染色加工技術だ。

美しい光沢で深く優美に染め上がり、多彩な表情を作りだすベンベルグ

繊細な素材も洗える

 ベンベルグは、綿糸には使用されないコットンリンター(綿花の種の周りに生える産毛)を原料にしたキュプラ繊維のブランド。コットンリンターが含むセルロースを精製・溶解し、再びセルロースに作り直して繊維にするため、再生セルロース繊維に分類される。再生セルロース繊維は一般的に水や摩擦に弱く、家庭ではケアが難しいとされてきた。洗濯すると縮んだり、しわがついたり、擦れて色落ちしたりしやすいからだ。ベンベルグの素材を使った生地で作られた製品は、これまで一部のアイテムでは取り扱いが難しいというイメージが強かった。「“洗える”ことが売れる最低条件」となるなか、イージーケア性は喫緊の課題だった。

 その課題が、山形県米沢市にある染色加工場、東北整練の加工技術「MVA」によって大幅に改善した。MVAは、セルロースナノファイバー(セルロースをナノレベルまで細かく解きほぐした繊維状の素材)で繊維一本一本をコーティングする技術。生地にしてから加工するが、繊維本来の風合いを損なわずに高い機能を発揮する。

ベンベルグの原糸の断面拡大写真

 旭化成は、特に繊細でドライクリーニングが必須とされてきた強撚糸の織物で試験を実施(表)。MVA加工品は、家庭洗濯での洗濯収縮率3%以内を実現した。未加工品の場合は6~10%収縮し、従来加工ではドライクリーニング、あるいは手洗い洗濯指定だった。色落ち度合いを測る湿摩擦堅牢度は、従来加工が1~2級に対し、濃色でも3級以上の結果が出た。洗濯後にしわになりにくいことも確認された。JISL1924(形態安定加工ワイシャツ試験方法および評価基準)に基づく試験では、従来加工で2級だったのが、3.5~4級に改善した。

 石油系有機溶剤などを使うドライクリーニングが不要になる点で、エコフレンドリーでもある。“サステイナビリティー(持続可能性)”、快適でイージーケアといった“実用性”など、昨今強まるニーズに寄り添う素材が誕生した。

MVA加工で摩擦堅牢度及び洗濯収縮率が改善した

ラグジュアリーを気負わず

 9月8~21日には、東北整練と新進気鋭のデザイナー糀泰佑のブランド「コーティ―」が組み、MVA加工が主役のポップアップショップ「MVA・フィーチャリング・コーティー」が高島屋日本橋店で開催された。旭化成が協賛し、MVA加工したベンベルグを、コーティーが製品に仕立てた。

 コーティーは20~21年秋冬のスタート当初からサステイナビリティーを掲げてきたブランドで、環境に配慮した素材を使うだけでなく、産地やその伝統技術の持続可能性にも向き合ってきた。以前から米沢産地に根差して物作りしており、東北整練も元々取り引きのある工場だった。

 販売したアイテムはシャツ、スラックス、ニットプルオーバー、セットアップ、コートなどで、コーティーがニューヨーク・コレクションやミラノ・コレクションで発表したばかりの22年春夏物を出した。ベンベルグに異素材を複合して適度にハリを出すことでより着やすくし、仕上げは職人が一点一点キャンパスに絵を描くように手染めしている。ウール混のコートは墨流し、ポリエステル・ポリウレタン混のパンツは板染めだ。自然を意識した色を配し、気負わず着られるラグジュアリーなスタイルを提案した。エコも追求し、PLA(ポリ乳酸)繊維混を、裁断くずなどの廃棄物が少ない無縫製ニット「ホールガーメント」のプルオーバーやカーディガンにした。

MVA加工したベンベルグを、コーティーが製品に仕立てた

 コーティーは、ベンベルグをこれほど表地に使ったのが初めてという。コレクションで見せる服は取り扱いが難しいものも多いが、MVAとベンベルグにより、「コレクションを素晴らしい生地で発表でき、なおかつ家で気軽に洗える服が実現できた」と話す。

 東北整練の尾崎満会長は、シルクのような風合いをはじめ「ベンベルグは元々持っているポテンシャルが高い」とし、今後もベンベルグを中心に開発を進めていく考えだ。

旭化成「ベンベルグ」のホームページはこちらから

(企画・制作/繊研新聞社 業務局)



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