1711年8月11日は、初のアスコット競馬が行われた日です。アスコット・ホース・レーシングは、英国でもっとも格式の高い競馬と考えられています。当時のアン女王の命により競馬場が開かれたからです。いわば王立競馬場だったのです。今でも、アスコット競馬開催にあたっては、女王陛下が臨席なさるのは、そのためなのです。なぜ「王立競馬場」を開くことにしたのか。それはより優秀な馬を育てるための最良の方法だったから。
アン女王は1702年に戴冠式を行っています。1665年、ジェイムズ2世の次女として生まれ、1683年にはデンマーク王の次男、ゲオルグと結婚。ふたりの仲はむつまじく、18か19人の二世を得ています。が、その多くは早世。その悲しみゆえ、すっかり酒に頼るようになったとか。そのためもあってか、49歳で人生の幕を閉じています。
それはともかく、アスコット競馬場がアン女王の遺産であることは間違いありません。今も昔も、英国の上流階級がおしゃれをするために出かける場所となっています。女性の帽子ひとつとっても、アスコット競馬場に関しては、どれほど奇抜でも、どれほど大胆でも、許されることになっています。(服飾評論家・出石尚三)