アジアの給与、日系企業は幹部ほど低い

2016/01/28 05:55 更新


 「アジア地域に進出している日系企業の給与水準を欧米企業と比較すると、ポジションが上がるに連れて日系企業が低くなる」。グローバル人材紹介のジェイ・エイ・シー・リクルートメント(JAC、東京、松園健社長)が実施した、アジア9カ国・地域の独自調査で判明した。この結果、日系企業はマネジメント能力のある現地の幹部人材の採用に苦戦している。

 海外の調査対象はシンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナムのASEAN(東南アジア諸国連合)5カ国と中国、韓国、香港。日本を加えた9カ国・地域で、現地採用の製造業の営業系、英語人材の年収を比較した。

 平均値で見ると、日系と欧米系の差は担当者クラスで1・18倍、課長クラス1・19倍に対して、部長クラス1・31倍、役員クラスでは1・42倍まで広がり、すべて欧米系の方が高い。同社によれば、日系企業の給与体系は役職による差が小さいのに対して、欧米系は差が大きく、これが調査結果に反映しているとみる。

 国別に特徴を見ると、日系と欧米系の差が大きいのはインドネシアと中国。逆に差が小さいのはシンガポールや韓国で、理由としては採用市場が成熟化していることを挙げる。また、ベトナムに関しては役職に関係なく給与差が小さく、これは工業製品の生産に特化している企業が多いことが背景にあるとする。

 同社によれば、アジア市場でも将来の少子高齢化により、人口減少が始まり、新規参入が難しくなると予測。日系現地企業は「人材を低賃金で採用、成長した過去の成功体験を払拭(ふっしょく)し、現地市場に合致した幹部人材を採用することが成功のカギ」としている。v



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