【パリ=松井孝予通信員】ブラックフライデー(BF)の週末、パリの商業地域は例年よりにぎわった。その理由は長期インフレ。大手調査会社によると、仏人1人当たりのクリスマス総予算(ギフト、室内装飾、食、移動など)は昨年より19ユーロ減の549ユーロで、コロナ禍前の水準に届かない。限られた予算で最大の買い物をと、仏人の62%がBFを利用すると答え、価格は最低でも4割引き、半額でなければ満足しないと期待度も高い。事実上、今やクリスマスの決戦となるBFは、Bウィーク、Bノーベンバーへと延長傾向にあり、当日には多くの店舗が1日限りの奉仕価格で消費者を呼び込んだ。
一方、デカトロンやECプラットフォーム数社はギフトとしてエシカル(倫理的な)製品や中古品を推奨し、責任ある消費を提唱した。インフレを背景に中古品の支持率は38%と21年比で9ポイント増えている。大手フリマサイトのヴェスティエール・コレクティブは、BFへの反対運動として「ベターフライデー」を立ち上げ、年間9200万トンの廃棄衣料品をビジュアルにしたメディアキャンペーンを展開した。同サイトでは昨年のBFにファストファッション30社の製品の扱いを止めた。