店を切り盛りしていると必ずやってくる「売れない」とき。セール前の買い控えなど想定しているタイミングだけではなく、新商品も入荷し、「いまここで」という時期になぜか、客足がいまいちだったり、来店があっても、買い上げが少なかったり。
こんな時期を乗り切るために、結果を出している店長は何をやっているのか。大事な月に予算達成するために必要なことを聞きました。
セット率より購入率を上げる工夫
「アーバンリサーチ」あべのフープ店・店長
吉本隆洋さん
集客で以前よりも苦戦することがあり、来店客の購入率をどう高めるかの工夫が欠かせなません。異動で15年8月に着任してからまず、個々のモチベーションを高めるとともに互いの信頼関係を築くことに注力し、スタッフを育成している。
【三 カ 条】
◇客単価より新規客獲得優先
◇みんなの声で売り場を作る
◇コミュニケーションで信頼を
士気を高く維持して信頼を形成するには、いかにコミュニケーションを取り続けるかが大事。仕事はもちろん、プライベートについても相談し合える関係を1年間かけて築きました。
疲れたように見えたり、悩むスタッフがいれば、とにかく話をする時間を取り、解決を目指す。「4、5年前から一緒に働いていたように感じる」と言われるほど“濃く”付き合っています。
信頼の構築は互いが言いたいことを言える環境が実現でき、連携もうまくいくようになりました。具体的な売り場作りに向け、スタッフが自分の意見をどんどんぶつけてくれる。全体の意識もまとまったため、店の目指す方向性やその具体策についての共有も進んでいます。
店長が絶対ではない。お客と一番接しているスタッフの様々な考えや意見を参考に、売り方を考えたほうが効率がいいです。
まずは1点、買ってもらおう!
購入率アップは、立地が多くのお客を対象とする多客型なので、幅広いニーズをつかむ売り場作りを推進しました。買い上げゼロだった人に、「まず1点を買ってもらおう」と呼び掛け、新規客の獲得に取り組んでいます。
学生などの若い客層をとらえるため、価格帯の低い商品投入を本部に要請。スタッフの声を元に秋冬からメンズのドレス商材も強化し、穴になっていた品揃えを補強しました。
春夏に続き、秋冬も前年以上の売上高、予算を達成するペースです。
数字が伸び悩んだ時は、売り上げアップのためにセット率や客単価を上げていくことも大事ですが、接客力を上げるには時間がかかります。そのための努力と並行して、新規客獲得のために出来ることも考えるほうがうまくいくと考えています。
(繊研新聞2016/11/28掲載記事を再編集)