輸出で最も重要となる〝信頼性〟。その向上に向けた自社のブランディング強化の過程で、人材育成や社員との対話も大事にしています。相手のブランドは素材作りに費やされる時間や苦労を理解し、作り手に敬意を払い、僕たちの声に最後まで耳を傾けてくれます。情熱を伝えられる土壌があり、そこで求められるのは強みを磨き言葉で伝える力と、それを支える企業の体制だと感じます。自社では、僕自身の考えを社員に丁寧に共有してきました。経営者が客観的な視点を持ち、社員とともに分析や議論を重ねるプロセスが大切ではないでしょうか。
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僕たちは、和歌山を含む全国の産地の工場とつながって商売が成り立っています。その関係性をより強固にしようと、世界で得た情報や経験を共有する「和歌山ニットプロジェクト」を3年前に始めました。月一の会議や勉強会では、海外出張で得た本来なら社外秘の情報まで積極的に共有し、〝チーム和歌山〟での成長を目指しています。
ファッションビジネスの根幹を作る生地メーカーだからこそ、常にトレンドを作り出していきたい。名刺代わりとなる独自素材を持ち、自ら海外市場へ飛び込み、韓国や米国の素材展にも挑戦する。世界の多様な市場への見識を深めた上で生地企画に取り組む姿勢が、大きな競争力となっています。これからも、信頼性を基盤としたブランディングと産地との共創、挑戦を大切にし、世界で存在感を発揮できる企業であり続けたいです。
(エイガールズ社長 山下智広)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。
