DSMGのオープンハウス 日本の農業や食についてパネルディスカッション

2025/04/11 15:00 更新


パネルディスカッションから。左端が司会役を担ったSHFUのスタッフのグラント・ルーリーさん、左から3番目が大津愛梨さん

 ドーバーストリートマーケットギンザ(DSMG)はオープンハウスで、ニューヨークの「スカイハイファームユニバース」(SHFU)と協業して食のシステムに関するパネルディスカッションを行った。

 半年に一度のオープンハウスは、作り手と触れ合いカルチャーを体感する機会を設けており、社会的な課題に着目した話し合いの場を企画するのは初めて。日本の農業や食に関わるパネリストに現状を語ってもらい、一人ひとりが当事者として食のシステムに意識を持って選択する大切さを伝えた。

 参加者は、ランドスケープ農家の大津愛梨さん、日本の食文化の執筆に携わるナンシー・シングルトン・八須さん、サンシャインジュース代表のコウノリさん、SHFU共同創設者のダフネ・シーボルドさん。

 熊本県の南阿蘇村で農業を営む大津さんは、米作りとともに、先祖代々続く赤牛の飼育に従事する。「稲わらを食べた牛の排泄(はいせつ)物を有機堆肥(たいひ)として田んぼに戻す繰り返しが、自分たちの地域のランドスケープを作ってきた」と話す。農業を始めて今年で23年目。当初とは異なって農業に従事していることが世間で好意的に受け取られるようになった。ランドスケープを守ることに世間のポジティブな反応を感じながら「だれがどうやって守るかまでは見えていないと思う。リアクションは変わってきているので、関わる仲間が増えていけばいいな」という。

 一人ひとりが出来ることの質問には、「理想論だけれど、皆さん農家の友達がいなくて大丈夫ですか、と思う。これだけ物流のシステムが出来ていても、昨年は多くの人がお米が無くて不安になったはず。安くスーパーで買える生活が80年近く続いてきたけれど、このまま続かない。皆がサステイナブルじゃないと気付いている。一度立ち止まって、『これ〇〇さんが作った食べ物だよね』という輪が広がったらいいな。それはSHFUも同じことをやっているんじゃないかと思う」と話した。

 SHFUは、非営利団体のスカイハイファームの活動を支援し、より良い食のシステムを作り出すことをミッションにしている。衣服や飲料、ビューティーなどの製品の販売を通じて世界の様々な食の問題に関心を高めてもらい、利益の50%を寄付する。ドーバーストリートマーケットパリとパートナーシップを組んでシーズンコレクションを展開し、これまでに55万ドルを超える資金を調達してきた。DSMGのオープンハウスでは、第7弾のコレクションとともに一点物の限定商品を販売した。

ワークウェアとアーティスト兼デザイナーのエリ・ワキヤマと協業したSHFUの25年春夏コレクション

限定商品で、エリ・ワキヤマがアートワークを施したビンテージTシャツ
使い古したベッドシーツで作った一点物のボンバージャケット

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