【パリ=松井孝予通信員】フランスの反ファストファッション法案の審議は、議会の解散や政治的混乱で停滞しているが、中国系大手プラットフォームの優位性を税制面で排除する対策が進められている。
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EU(欧州連合)は関税同盟の見直しを進めており、28年にはEU圏内に入る150ユーロ未満の小包に対する関税免除が撤廃される見通しだ。23年には22ユーロ未満の商品46億点が域内に輸入され、うち91%が「シーイン」や「テム」を中心とした中国系プラットフォームからだった。
仏紙「ル・モンド」によると、フランス政府はこの措置を26年に前倒しで導入することを推進している。しかし、EUの関税制度に関わるため、フランス単独での実施には加盟国間の合意が不可欠であり、今後の交渉が鍵となる。また、ラ・ポスト(フランス郵便)の欧州倉庫で扱う小包の22%が同2社の商品であり、物流業界への影響も懸念される。
一方、EUはシーインに対し、違法商品の販売防止の取り組みが不十分である疑いで調査を開始した。調査はEUの消費者保護協力ネットワーク(CPC)と加盟国の規制当局が共同で実施する。また、EUはテムがデジタルサービス法(DSA)に違反している可能性があるとして、昨年末から調査を進めている。