2年ぶりにショーを行った「エズミ」(江角泰俊)は20年春夏、緩やかな線と異素材ミックスを軸に、デコンストラクトのエレガンスを清楚(せいそ)に見せた。
左右が異なる肩の位置で袖を切り替えたカーディガンには、複数のプリーツを切り替えたスカートを合わせる。セーターは片側をカットしてドレスやシャツをレイヤード。ニットと布帛のドッキングは「サカイ」が確立させたスタイルでもあるが、トップのボリュームを削ぎ落とし、女性らしい肩のラインをきれいに出して、エズミらしいエレガンスを表現した。
「スペインの建築家、サンチアゴ・カラトラーヴァが自然界から発想していく構造の美学に興味を引かれ、服作りの視点となる肩と腰の力の釣り合いを考えた」と江角。モノトーンにマゼンタ、グリーン、イエローのグラフィカルな配色のチェックを重ね、量感のあるフォルムをモダンに見せた。
テーラードアイテムも、新しいバランスで見せる。オーバーショルダーのジャケットとパンツのセットアップは、タブのディテールがアクセント。トレンチコートもスパイラルに体に巻き付けて、ドレスのようなアイテムへと作り替える。メンズのかちっとした作りを、女性らしいエアリーなフォルムへと変化させた。


(須田渉美、写真=加茂ヒロユキ)