《ちょうどいいといいな ファッションビジネスの新たな芽》「niitu」 力合わせてブランドを成長させる

2024/12/27 10:59 更新


最新作の「2024暁シリーズ」

 「niitu」(ニーツ)は、新津兄弟が11年に始めた「現代和服」をコンセプトにするユニセックスのブランドです。鶴や白鴉(シロガラス)といった和柄や直線のパターンメイキングが特徴です。近年はシーズンにとらわれずに新作を出し、受注販売会やECを行っています。デザイナーの新津祥太さんは、16年12月に設立したニーツの社長を担っていましたが、23年3月にオフィスアントに合流し、新しい体制で活動を続けています。

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独自の世界を発信

 新津さんはアニメや漫画が好きで、デザインの着想源になっています。ルックのモデルにアイドルやミュージシャンを起用するなど、親和性のあるカルチャーとのつながりも大事にしています。初めて洋服を販売したのは鬼子母神の「手創り市」。衣装制作やコラボレーションなど「自分たちらしくやる」姿勢を貫いて進んできました。

刺繍とプリントを組み合わせたデザイン

 22年10月には楽天ファッション・ウィーク東京に映像で初参加し、それがきっかけで、eスポーツ事業のリイグナイトエンターテインメントから声が掛かり、チームアパレルとグッズを企画することになりました。しかし、当時の社内は4人体制で、規模が大きい案件に難しさを感じ、従来からプリント加工を依頼していたオフィスアントの山﨑知彦社長に相談しました。ちょうどアパレルブランドの運営事業を構想していたことから、オフィスアントに入ったそうです。

新しい挑戦も

ました。「仲間ができて、服作りから情報発信まで、ブランドの運営が社内で完結し、思い描いていたことが達成できた」と新津さんは感じています。ルックや商品のフォトスタジオも完備され、撮影は山﨑社長が担当し、同僚がモデルを務めることもあります。ホームページやECも社内で制作、管理します。細やかで素早い対応がブランドの成長を後押ししています。

社内で柔軟にアイデアを試したりサンプルを作ったりできる
鮮やかな発色と細部までの再現性が特徴のDTFプリント

 「自分たちだけではたどり着けなかったところにいる実感がある」と新津さん。経営面は山﨑社長に任せ、デザイナーやプロデューサーとして物作りに専念できるようになりました。一方で、社内の他ブランドの物作りにも携わり、新たな知識や経験を得ています。

 今年11月には、ピッグスキン(豚革)のファッションショー「ピギーズスペシャル」に参加。豚革との相性が良いプリント技術を活用してショーピースを制作し、通常は展開していないタイトフィットのドレスも作りました。今後はもっと和にフォーカスして「日本を代表するデザイナーになりたい」そうです。目標に向かって進み続けます。

2回目の参加となったファッションショー「PIGGY'S SPECIAL」

■ベイビーアイラブユー代表取締役・小澤恵(おざわ・めぐみ)

 デザイナーブランドを国内外で展開するアパレル企業に入社、主に新規事業開発の現場と経営で経験を積み、14年に独立、ベイビーアイラブユーを設立。アパレルブランドのウェブサイトやEC、SNSのコンサルティング、新規事業やイベントの企画立案を行っている。



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