TSIホールディングス子会社のTSIは、テキスタイル・エクスチェンジが定めるオーガニック繊維認証「OCS認証」に基づくブランド向け「CCSブランド認証」を、日本の大手アパレル企業として初めて取得した。26年春には「ナノ・ユニバース」から、認証を生かした最初の製品としてシャツを販売する。
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取り組みは、私自身の小さな興味から始まりました。社内で開かれたSDGs(持続可能な開発目標)関連のセミナーに参加した際、WWF(世界自然保護基金)ジャパンが登壇されていました。
当初は認証を取ろうという目的ではなく、WWFのシンボルであるパンダをモチーフにしたTシャツを作れないかという発想でコンタクトを取りました。しかし話は深まり、OCS認証の取得を勧められ、実際に挑戦してみることにしました。
社内の理解と後押しは大きな力になりました。ブランドのメンバーもすぐに取り組みの意義を理解してくれ、CFO(最高財務責任者)からも二つ返事で資金の承認が出ました。
SDGs推進室が続けてきた社内啓発の積み重ねもあり、現場に受け止められる土壌ができていました。
実務面では困難も多くありました。対応できる生地が数種類しかなく、その制約のなかで商品を企画する必要があり、デザイナーには工夫が求められました。
また、海外では1万単位のロットが前提となりますが、私たちは数百単位がせいぜいです。それでもスタイレム瀧定大阪が小ロットに柔軟に対応してくださり、ようやく実現に至りました。
認証に必要な確認作業も大変でした。書類は英語で表現も難しく、まず理解することに時間がかかりました。ケケン試験認証センターに逐一確認し、アドバイスを受けながら進めました。
振り返れば、求められていることは在庫管理や工程の記録など、ごく当たり前のこと。普段から取り組んでいれば特別な対応を要するものではありませんでした。
ナノ・ユニバースから認証を生かした最初の商品として、ユニセックスなシャツを販売します。当初はロングチュニックの案もありましたが、最終的にオーセンティックな襟付きシャツに落ち着きました。老若男女を問わず着用できる普遍的な形を意識しました。
今後は、まず認証製品をしっかり売ることが大切です。実績を積み上げることで他ブランドへの横展開につなげ、規模を拡大していけます。そうすればロットも増え、価格の壁も低くなるでしょう。
日本はまだオーガニックの基準があいまいです。例えばシャツの襟の一部分だけオーガニックコットンを使っていても、その割合を示す必要はありません。
一方、ヨーロッパではトレーサビリティー(履歴管理)が急速に進んでいます。インバウンドのお客さまが自国の基準と比較してギャップを感じるような状況は避けたい。
認証の取得は、周囲に対する誠意を示すものと考えています。グリーンウォッシュではなく、正しい工程を経て認証を取得することが信頼につながる。将来的には売り上げの観点からも欠かせない取り組みになるでしょう。
(繊研新聞本紙25年8月28日付)