ウールの物語②フリースって本当は羊?

2017/01/15 05:30 更新


寒さも本番ですね。街でフリースが活躍する季節となりました。さて、今や大人から子供まで、誰もが1着は持っていそうなフリース(fleece)。これが、もともとウール(羊の毛)とほぼ同義語ということは、ご存じでしょうか?

羊の毛をバリカンで刈り取る際、上手に1頭分の毛が絡み合い、「1枚(1塊)の毛皮状になったもの」がフリースです。フリースウールとも言います。

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毛を刈り取る時にひとつにまとまるもののことを「フリース」と呼ぶ

 

この後、細かな異物を除いたり、毛を洗ったりと、様々な工程を経てウールの糸が作られていきます。そして、織物や編物、服になっていくので、フリースがウール製品の出発点と考えてよいかも知れません。

本来のフリースの意味から、柔らかな毛の絡み合った、モコモコと柔らかな生地のことを、フリーシー(fleecy)と呼んだりもします。毛足が長く、ボリューム感のある風合いの織物や編物の形容に使います。

 

■いわゆる「フリース」は70年代生まれ

現在、フリースと言えば、ポリエステルの防寒着の方が有名です。これが登場し始めたのは、70年代。まさに、フリーシーな生地を使った高機能アウターとして開発されました。アウトドアブランドから打ち出されたものが流行を引っ張り、世界中で開発が続き、冬を代表するウエアとして定着しました。見事なネーミングも、成長を手伝ったかも知れませんね。

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現在では、フリースと言えば、ポリエステルのこんなプルオーバー


さて、どんなにフリーシーな生地でも、家庭用品品質表示法では、原料である素材がポリエステルの場合、ポリエステルと表示されますね。羊の毛であるフリースからスタートする製品は、「毛」「羊毛」「ウール」「WOOL」の4種類の表示が認められています。「毛」という時は、羊毛だけでなく、カシミヤその他、様々な動物の毛に使えることになっています。

 

■梳(そ)毛と紡毛の違いは??

では、そのウール製品を語る際、よく聞く「梳毛」(そもう)と「紡毛」(ぼうもう)は、何が違うのでしょう?

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ウール製品は多彩に発展

 

梳毛は、ウーステッド(worsted)と言い、約5㌢以上の長い毛繊維だけを使った糸を指します。ウールにはいろいろな長さの繊維が入り交じっているため、それを櫛(くし)削り、短い繊維は除いて、長く細い繊維だけを残す方法が14世紀ごろ、英国で考案されました。繊維が整って美しく、強い糸が生産できるようになったわけです。

 

それまで、ウールは紡毛(ウールン、woollen、woolen)だけでした。太く、柔らかでウールらしい糸のため、今も、紡毛という語がウール製品を総称することがあります。フラノやツイードなど、ざっくりとした紡毛織物の世界に、サージやギャバジンなど滑らかな梳毛織物が加わり、ウール製品はさらに多彩になっていきました(文:若狭純子・編集局総合1面デスク)。

 

【THE NUMBER】

70年代⇒ポリエステルのいわゆる「フリース」が生まれた

14世紀⇒いろいろな長さの繊維が入り交じっているウールから短い繊維を除いて長く細い繊維だけを残す方法が生まれた



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