グッチは、京都市京セラ美術館で開催中の世界巡回展「グッチ・コスモス」で、キュレーションを行ったファッション評論家のマリア・ルイーザ・フリーザさんを招いてトーク企画を行った。アーカイブの価値や未来とのつながりがテーマとなった。
(青木規子)
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伊フィレンツェにあるグッチのアーカイブ収蔵拠点のパラッツォ・セッティマンニは、歴代のクリエイティブディレクターのインスピレーション源になってきました。過去を語るだけでなく、新しいアイデアが芽吹く場所です。歴史がつながる。これがキュレーションのカギになりました。
そのテーマがよく分かるのは、日本の作品と対話できる展示です。京セラ美術館所蔵の絵画と、ゴルフやピクニックといったレジャー用のアーカイブを連動させて展示しました。そのようにキュレーションされたアーカイブは見る人によって見え方が変わります。動的で、現代的な場所。ここは、生きた場所なのです。
アーカイブを超えてきたシグネチャーアイテムも多いです。ローファーもその一つ。53年にアルド・グッチがローファーを飾るハードウェアとして、馬のくつわとあぶみをモチーフにしたホースビットを取り入れました。それは瞬く間にブランドのシグネチャーとなり、その後も進化し続けています。
歴代のクリエイティブディレクターたちは、ブランドのコードとパーソナルな部分を大切にしながらブランドを発展させてきました。ブランドの未来をイメージする。それは非常に面白い仕事だと思います。
展示会のタイトルのコスモスは、様々な星座のある宇宙を指しています。それは数々の歴史を持つグッチを意味します。その歴史から、カギとなるものを選び出すのは楽しい作業でした。