「繊維カンパニーの任務は、安定的に収益を伸ばすこと」と語るのは、4月に就任した伊藤忠商事の小関秀一常務執行役員繊維カンパニープレジデント。同カンパニーの純利益(IFRSベース)は15年3月期で320億1300万円と、前期を80億円強上回った。直近でも、中国のダウンウエア最大手、波司登との資本・業務提携契約の締結など、旺盛な投資が目立つ繊維カンパニー。新たなチャレンジを重視しつつも、「本来、繊維の分野はあまり無茶をしないことが大事。着実にステップアップする」と強調した。
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今期の純利益は330億円が目標。堅調な単体の事業に加え、エドウインの取り込みが初めて年間を通した形になるほか、米国レッグウエア製造・販売のレンフログループ、ベトナムのビナテックスといった出資先の寄与も見込む。全社を挙げて推進しているタイのCPグループ、中国のCITICグループとの取り組みにおける繊維ビジネスの拡大にも期待している。
北京、上海、香港での駐在経験を持つ小関プレジデントの経歴およびこの間の中国への積極的な投資から、事業運営も、中国に最重点を置くと見られがちだが、「中国に偏らず、全方位で進めていく」とコメント。「豊富な機能を持つ伊藤忠の強みを生かしていきたい」という。
繊維カンパニーが今年度の重点施策とするのは①川下戦略の更なる推進②優良資産の積み上げと資産の入れ替え③コンプライアンス意識の醸成および経営管理体制の見直しと強化。素材、企画生産、ブランド、物流など複数の機能を掛け合わせたハイブリッド型事業の推進も継続し、「伊藤忠のプレゼンスをさらに高め、収益基盤を磐石にしたい」。
大事にしているのが「不破不立」という言葉。「現状を打破して、新たな事にチャレンジする姿勢で繊維カンパニーを運営する」方針だ。