前回は、糸から生地ができるまでの流れを見てきました。
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今回は、それぞれの製造段階はどんな業種が担っているのかを見て行きましょう。
◆様々な業種が分業で担っています
上の図は、服が出来るまでの大まかな流れをまとめたものです。原料から服が作られ、店で販売されるまでを川の流れに例えて「川上」「川中」「川下」ということを以前の記事で見ました。
ただ、川上の中だけで言うと、糸を作るまでの段階を「川上」、生地作りや染色加工を「川中」、縫製品の企画製造を「川下」として表します。それがこの図になります。
まず、糸を作る会社ですが、日本で紡績業は綿、ウールなど扱う素材によって会社が分かれています。世界的には産業革命以降に近代紡績が発展し、日本でも明治期に多くの会社が興りました。
東洋紡、クラボウなど社名にその名残(ボウが付いている)がありますが、明治期から続く会社が多くあります。
長繊維の糸を作る合繊メーカーは東レ、帝人、旭化成などがあり、もともとはレーヨン製造でスタートしましたが、今は合成繊維やフィルム、樹脂など多角的な事業を行っています。
織物や編物の製造、染色加工を担う企業は国内の各地に業者が集まる繊維産地を形成しています。
合成繊維なら福井、石川、富山といった北陸
ウールなら尾州(愛知)
綿は泉州(大阪)、和歌山、浜松
などに集積し、専門業者が分業体制で生産を担っています。
繊維生産は今ではグローバル化しており、中国や東南アジアなどで一貫生産されるケースが多くなっています。日本のテキスタイルは生産量こそ減っていますが、現在も品質や表現力などの面で高い競争力を持ち、海外の有力企業やブランドからも評価されています。
【終わり】