ケリング、ヴァレンティノの完全買収を2年延期

2025/09/18 18:00 更新NEW!


 【パリ=松井孝予通信員】仏ケリングは、伊高級ブランド「ヴァレンティノ」の完全買収計画を少なくとも2年延期する。筆頭株主であるカタールの投資会社メイフーラとの株主間協定を改定し、同社が保有する70%分の売却オプションを28年と29年に、ケリング側の買収オプションを29年にそれぞれ繰り延べる。資本構成は28年まで現状維持となる。

 ケリングは、23年にヴァレンティノ株30%を17億ユーロで取得。残る70%について、当初は26年、27年にメイフーラが段階的に売却可能とし、ケリングが28年に完全買収する枠組みだった。評価額は約40億ユーロで、一部はケリング株300万株(取得当時15億ユーロ相当、発行済株式の2.5%)による支払いが可能とされていた。

 しかし、ケリングの株価下落で株式交換の価値は約7億2000万ユーロに低下。当初想定した負担軽減効果は失われ、現金で30億ユーロ超を拠出する必要が生じていた。

 加えて、24年通期売上高は16%減の76億ユーロ、純有利子負債は105億ユーロ(前期比24%増)に膨らみ、財務的に厳しい状況が続いている。

 こうした中での協定改定により、ケリングは財務再建と事業立て直しの猶予を得た。

 両社は共同声明で「リカルド・ベリーニ新CEO(最高経営責任者)を迎えたヴァレンティノの発展を戦略的パートナーシップで支える」と強調。完全買収の道筋は残しつつも、ケリングの財務体力回復が前提となる。



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