接客の会話(藤永幸一)

2014/09/15 00:00 更新




研修では、「いかに商品を売り込むか?」ではなく、「どのようにお客様との心地よい関係をつくるか?」をテーマにしています。今期はとくに、「接客会話の作り方」を取り上げています。

8月も半ばになると、店頭で聞かれるフレーズに、「これ、セール対象じゃないのね」というお客様の言葉があります。ほとんどのスタッフは、「はい、こちらは対象外になっています」と生真面目に答えますが、その後が続きません。

ここにも、お客様との「良い関係」を作るチャンスがあります。ちょっとお客様の気持ちにアクセスしてみます。「いいな!」と気に留まった商品、タグをみたら正価だったという状況です。「セール対象商品」以外に、目が惹かれた(今の時期でいえば、初秋物、秋物)という、お客様の「気持ち:気分」をキャッチして、ピンポイントで働きかけるというのが、上手な接客会話の作り方です!

現場で販売をしている店長、スタッフは、当然ながら売り上げをつくることを考えています。どのように商品を売るかという視点で、たくさんの指導が繰り返されてきました。でも、「買う、買わない」を決めるのは、お客様! この当たり前のことを大切にすれば、入店から購買決定まで、「お客様の気分」をサポートし、リードすればよいということになります。

確かに、従来の指導も、「いかに、すばらしい商品か」をつたえることで、「気」を惹くように教えてきましたが、もっと違うところにポイントはあります。

先ほどの例では、商品はおそらく、初秋、もしくは秋物でしょう。その商品に目が惹かれたという事実は、お客様の心の中に、「秋物」への関心があるということ!

「お客様のお気持ちは、すでに秋に惹かれているようです。9月もすぐそこですね」・・・というような返しからリレーション(関係)をつくれれば楽しくなります。

 


 

今年は、お客様の購買モードが強いと感じます。あきらかに、「欲しい!」という表情で、商品に触れる手も元気です。商品を見る目に力があります。どんなファッションを楽しもうかなあ・・・と、見て、歩いています。そういうお客様に、「いかがですか?」だけでさがってしまうのは、もったいない。

「ファッションをイメージして、探している時間って、案外、楽しいものですよね!」・・・いきなりの商品お勧めではなく、お客様の気分をキャッチするフレーズがポイントになります! 「ファッションは、で・あ・いといいますから・・・」くらいのセリフで、お客様を見送りたいものです!




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