百貨店の開店時間に、インフォメーションのスタッフがお客様を迎える立ち姿、そして45度のお辞儀を鬱陶(うっとう)しいと思っているお客様も少なくないようです。
「美しくない」とは思いませんが、あれは、上下関係が著しく違うか、はっきりしている場合。たとえば、皇室の方に挨拶をする、身分の違いを弁えて、「敬う」気持ちを表現するなどの姿勢だと思います。
転用して、そういう気持ちを敢えて表現する姿勢として使っているのが、百貨店の事例です。「お客様」に対して「お迎えする従業員」という図式。
本来は、「お客様」とある程度の「距離」を保つこと、所作はゆっくりと「敬う」態度が示されること、目は直接合わせないなどの「条件」がそろってこその「形」です。
ところが、このあたりの理解なく、「姿勢」だけをとりいれれば、それが、「マナー」であり、「美しく、正しい姿勢」だと教えるコンサルが多すぎます。
結果、スーパーのレジでキャッシャーが一々、このスタイルをささっとやって見せる。とんでもなく雑で、すこしも「好感」は持てません。スーパーのレジでお客様が望んでいるのは、スピーディで正確なこと。
先日も、ある有名店で、1人の年配のスタッフが、「お並びのお客様、奥のレジにどうぞ!」と片手をあげ、大きな声で、自分のレジに客を招いていました。客が彼女の前に立つと、まさに、この姿勢をつくり、45度のお辞儀をささっとやってのけ、「お待たせしました!」と相変わらずの大きな声のままです。所作と声、表情がアンマッチです。
すべてのスタッフが同じスタイルではありませんでしたから、マニュアル化してはいないようですが、「違和感」を感じない店長がいることが不思議です。いや、問題です。
歩きスマホも、ごくごく当たり前になってきてしまい、周りへの目配りなく、真顔で俯いて歩く姿が多く見受けられます。一方で、場違いな「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」に見える所作の接客。これ、海外の人から見たら、とても異様に見えるはずです。不気味だと思います。
20年のアパレル体験で痛感したこと=仕事の悩みは、本当のところ、「人間関係」。2000年に、「レックス」を設立。「仕事を楽しむスキル」を学んで、「元気な現場」をつくるサポートをスタート。自分が「楽しい!」と感じれば、相手にも好感度が伝わる!大手アパレルとの長いお付き合いで、スキルは常にバージョンアップ中!