生地のオンラインプラットフォーム「キジアライ」 サイト新装し産地メーカー支援

2021/07/07 06:27 更新


 産地などの生地メーカーとアパレル・商社などをオンラインで結ぶプラットフォームとして19年秋にサービスを開始した「キジアライ」が、7月1日に全面リニューアルオープンした。産地企業が不得手なブランディングやマーケティングを支援しつつ、オンラインマッチングと従来型の商習慣もともに生かせる仕組みにした。現在の登録企業はサプライヤーで約40社、バイヤー側には大手アパレルなど有力企業が名を連ねる。

(永松浩介)

従来の商習慣も可能

 キジアライを運営するのはバードファブスタジオ(京都府舞鶴市)。大手生地商社出身の上羽英行さんが代表で、5月に法人化した。生地メーカーと、アパレル・商社のマッチングサイトは国内で複数立ち上がっているなか、キジアライはサプライヤーが支払う年会費で運営し、成約時の手数料は取らない「唯一無二のサイト」(上羽さん)だ。企業規模に応じた年会費も12万円が基本で、当初から参加している企業はさらに安い。バイヤーは今回から無料にした。

 最大の特徴はテキスタイル流通の商習慣も取り入れた点で、利用者であるバイヤー、サプライヤー双方の目線に立ってサイトを設計した。従来通りにサプライヤーが問屋に営業を依頼したり、アパレルのバイヤーが商社を挟んで取引することもできる。

 これまで通りに問屋に営業を委ねるやり方も、自販もできるため、利益管理がしやすくなる。生地の価格には手数料(マージン)は含まれないため、安い海外素材にも肩を並べられる可能性が生まれるという。

情報発信、AI機能

 営業やマーケティング、情報発信など、多くのサプライヤーにとっては不得意な分野もシステム上で担保した。サイト内に置けるメーカーのページは自社情報を打ち込むだけで出来上がり、検索しやすくするためのタグも自動追加できる。また、SNSなどで見つけた写真をサイトにアップロードすると、それに近い生地を表示するAI(人工知能)機能も搭載。信州大学繊維学部との共同研究で、顧問弁護士のリーガルチェックも経た。

 もっとも、サプライヤーが自社の案内を掲載しただけでは簡単には成約しないとみている。「成果の有無は企業努力いかん」と上羽さん。サプライヤー自身が新しい取り組みに挑戦したり、プラットフォームを宣伝したりしないと活気付かない。プラットフォーム側は、サプライヤーが無料で投稿できる記事カテゴリーを用意し、テキストコンテンツでストーリーを紡ぎ、生地への関心を喚起させる。

 各サプライヤーのページを生かすことで「24時間、365日稼働している展示会になり得る」。スタート時に納められたテキストは全て英語でも表記し、海外クライアントの開拓にもつながる可能性がある。同社は事業に関連して四つの特許を出願(現在審査中)しており、特許を取得すれば、別会社での運営も考えているという。

英語表記も併記し、海外販路の開拓にも取り組む


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