X'masマーケットも多種多様なベルリン(宮沢香奈)

2018/01/15 13:50 更新


ハロウィングッズが店頭から消える前にクリスマスグッズが登場し、ハロウィンとは比ではない量と種類でフロアーが埋まっていく。ドイツではクリスマスが一年で最も重要なイベントであり、大型連休となり、11月末からは名物のクリスマスマーケットも数え切れないほど開催される。灰色の街並みが一気に華やぐこの季節と街の雰囲気は個人的にもとても好きなシーズンである。


特に今年はインターナショナルなベルリンならではな多種多様でユニークなマーケットが多数開催されており興味深かった。中でも注目したいのが、今年から規模を拡大した人気マーケットの一つ”Wedding Markt”のクリスマス版である。名の通り、Wedding地区で開かれているハンドクラフトに特化したマーケットで、他では手に入りにくい厳選された作品を扱うショップが並ぶのも特徴である。

毎週開催される古着や骨董品が山積みされた雑多なフリーマーケットとは違い、ウッドで作られたブースに品良く並べられた商品はアーティストによる作品であり、ミュージアムショップを見ているような楽しさがある。

また、クラシックカーのトラックで売られるBIOのフードやドリンクなどもオシャレで、洗練されたワンランク上のマーケットといった雰囲気がとても気に入っている。店舗を持たないBIOコスメメーカーのクリームもここで発見してからずっと愛用しているほどだ。

審査の厳しいこのマーケットには日本人女性も出店しており、クラフトやプロダクトを得意とするドイツ人の中に混ざりながら堂々と人気を得ていることに感心した。日本やアジア諸国などで長年実績を持つ工芸家のAko Mikiさんが手掛ける鏡を使用したミラーボール「KALA mirrorwork 」全て手作業によるミラーボールたちは丸や三角といった様々な形にカットされ、球体に散りばめられる。風に揺られて反射する光がとても美しく、コレクションしたくなる。


こちらは手作りジャム。マヨネーズやケチャップなどがアルミのチューブ式で売られているのは普通であるが、ジャムは初めて発見したため驚いた。良質な素材を使用しており自然の甘さが程良く、パッケージデザインもかわいい。


ドイツ人のDIY精神とアイデア(特にインテリアに関してはプロ顔負け)には常に驚いているが、日本人の繊細な器用さには誰も敵わないと彼女の作品を見て改めて思った。この日はクリスマススペシャルとあって出店数も来場者数も桁違いでゆっくり話を聞くことが出来なかったが、Mauerparkノイケルンのマーケットなどでも出店しているので是非とも実際に手に取って見て欲しい。

マーケット発信で店舗を持つまでになる人もいるほどマーケット文化が根付いたベルリンにおけるマーケットの集大成がこのクリスマスマーケットであり、大盛況となるのは言うまでもない。マーケットのクオリティーやセンスがなぜファッションには活かされないのかいつも不思議に思ってしまうが、日本のクリスマスイルミネーションがどうしても安っぽく見えてしまうのと同じことなのかもしれない。

まだまだ行ったことのないマーケット探索をしながら、これからもいろんなステキなものと出会っていきたい。




宮沢香奈 セレクトショップのプレス、ブランドのディレクションなどの経験を経て、04年よりインディペンデントなPR事業をスタートさせる。 国内外のブランドプレスとクラブイベントや大型フェス、レーベルなどの音楽PR二本を軸にフリーランスとして奮闘中。 また、フリーライターとして、ファッションや音楽、アートなどカルチャーをメインとした執筆活動を行っている。 カルチャーwebマガジンQeticにて連載コラムを執筆するほか、取材や撮影時のインタビュアー、コーディネーターも担う。 近年では、ベルリンのローカル情報やアムステルダム最大級のダンスミュージックフェスADE2013の現地取材を行うなど、海外へと活動の場を広げている。12年に初めて行ったベルリンに運命的なものを感じ、14 年6月より移住。



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