原材料や生産コストアップなどで、商品価格を上げる動きが強まっている。コスギの西垣龍明社長は「当社も状況は同じだが、商品価格を上げる発想はない」という。特に地方は賃金上昇や景気浮上の実感がなく、「価格を上げられる現状ではない」と見ている。まずは商品開発を優先して、品質を維持、向上して競争力を高め、商品量を増やすことに注力する。
単純に価格を据え置くと、利益が下がる。そこで前期(15年2月期)から、生産拠点はコストが上がっている中国からASEAN(東南アジア諸国連合)地域に少しずつ移行している。今期はASEAN地域を約40%まで高める方針で、ベトナムやカンボジア、バングラデシュ、インドネシアなどに広がっている。
しかし、生産拠点を全面的にASEANにシフトすることは考えていない。難しい商品や、短期的な生産が必要な商品などは中国で継続する。一方、納期的に猶予がある物作りは移行する。また、メード・イン・ジャパンの商品も増やす考えだ。
今期の売り上げ伸び率は3月が前年同月比約3%減だったが、4月第1週は25%増となり、「3、4月の累計で比較すると、前年を超える見通し」となっている。15年度は立地やターゲット、時流を見極めた価格維持の戦略を取るが、「市場が不透明で悩ましい。予断を許さない」としている。