ららぽーとTOKYO-BAYの新スペース「ららぽーとクローゼット」 新たな来店動機を創出

2021/06/14 06:28 更新


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 商業施設がリアルの強みを生かした、新たな来店動機や体験を創出するスペースを新設する動きが増えている。そうしたなか、三井不動産は子育て世代のファミリー層や、カップル、友人同士などの客が楽しめる新たな空間「ららぽーとクローゼット」をららぽーとTOKYO-BAY北館1階に開設した。新たなサービスや機能を盛り込んだ空間で実際にどんな体験や過ごし方ができるのか、探ってきた。

(海藤新大)

様々な体験を集約

 三井不動産は、自社ECモールの「アンドモール」と連携した「アンドモールデスク」を17施設に導入している。同サービスではアンドモールで購入した商品の受け取りや試着、返品ができる。ららぽーとクローゼットはその機能をさらに強化し、様々なサービスを一つの空間に集約させたスペースだ。

 試着商品を展示や計測、お直しなどの様々なサービスを展開するスペース、家族でくつろげるキッズスペース、カフェラウンジを併設している。さらに3.2メートル×2.6メートルの大きな六つの試着室を完備した。

全部で六つの大きな試着室を設けた

 予約せず、ふらっと立ち寄ることもできるが、基本的にはスマホなどで専用のサイトから試着予約をして、来店することになる。現在試着可能なブランドは「ナノ・ユニバース」「ユナイテッドアローズ・グリーンレーベルリラクシング」「アーバンリサーチ」「リエンダ」などセレクトショップを中心に計9ブランド。

 専用サイトではブランドをまたいで商品を一覧してみることができ、1000着ほどの中から6着まで試着予約が可能だ。試着したい商品のカラーやサイズを選んだ後に、来店する日付と時間を選択することで予約が完了する。

スマホなどから専用サイトで試着予約できる
ブランドをまたいで様々な商品を比較し、試着できる

 試着日当日、試着室に案内されると予約した商品が既に用意してあり、心置きなく商品を試すことができる。もしイメージと違ってもその場で追加試着することも可能。予約は1人当たり平均で3着ほど。実際はその多くが、その場で追加で試着する。ベビーカーを押したままでも入れる広々とした試着室にしたことで親子で一緒だったり、友達同士で一緒に入っての利用が多い。「子どもと一緒に入って写真撮影しながら試着するなど楽しまれている様子をよく見る」(飯原隆弘三井不動産商業施設本部商業施設運営部イノベーション推進グループ主事)という。

カフェラウンジやキッズスペースも設け、家族やパートナーと一緒にくつろげる空間に

 商品には全てアンドモールの商品ページへとリンクするQRコードが付いており、読み込むことで商品ページで購入可能だ。その場で持ち帰ることはできないが、どうしても当日に欲しいという場合にはそれぞれのブランドと連携し、館内にある各ブランドの店頭在庫から購入することも可能にした。「想定では、その場で購入したいという声が多く上がるのではと懸念していた」というが、「荷物にならなくていい」という声が聞かれるなど好評を得ているという。

 現在、キッズとレディスのみの商品を扱っており、商品は1カ月に1回ほどのペースで入れ替え、季節感や新鮮さも常に出していく。また、「家族の利用で、お父さんも一緒に買い物を楽しめるように対応したい」として、メンズ商品も今後導入を検討している。

試着室では専任のスタッフからアドバイスなどももらえる

足を運びたくなる仕掛け

 もちろん、試着せずアンドモールで購入した商品の受け取りも可能だ。カウンター脇には洋服お直し専門店「ママのリフォーム」を併設しているため、その場で裾上げなどのお直しサービスを受けることもできる。その隣には、簡易ギフトラッピングをセルフでできるスペースも設け、ギフト需要にも対応している。メッセージカードやリボン、ラッピングの袋などを多くの種類から無料で選べ、自分の手でラッピングすることが可能だ。

 また、試せるのは服だけではない。アンドモールで扱うコスメを試せるスペースも設けた。「スキンフード」「マリークヮント」「ワトゥサ」の3ブランドの商品を明るさ調節が可能なミラーの前で試せる。カラーコスメが中心だが、今後スキンケアアイテムなどの拡充も検討している。

 さらに、ワコールと協業し、同社が開発した3D計測サービス「3Dスマート&トライ」を活用した計測サービスも受けることができる。計測結果からおすすめのスタイリングなどを提案し、試着サービスとも連携したトータルなファッションアドバイスを体験できる。

 ららぽーとクローゼットに何度も足を運びたくなるような仕掛けを、いくつも設けている。

ワコールとの協業で3D計測サービスを活用した体型パターン別のファッションアドバイスも受けられる

施設内のサービスを凝縮

 ららぽーとTOKYO-BAYは施設が非常に広大なため、かねてより「店内の回遊がつらい」「店舗間の比較購買が大変」などの声が挙がっており、課題だと感じていたという。ファミリー層の客が多く、「子供を見守りながら、母親と父親交代で買い物するような光景もよく見られる」と買い物のしづらさを目にする機会も多かったと飯原さんは話す。そうした顧客からの声も受けて、約3年前からららぽーとクローゼットの構想があったという。

 一つの空間に施設内の様々なサービスを凝縮し、一気通貫で「ここに来れば買い物が全て済むようなスペースがあってもいいのではないか」という発想で、利便性の向上と新たな体験価値の創出を目指した。

 また、単なる購買だけでなく、家族や友人様々な来館者がこのスペースで一緒になって過ごせる空間を目指し、設置するサービスや内装などをこだわった。カフェラウンジやキッズスペースを併設したことや、非常に広い試着室を設けたこともそのため。子供も親もパートナーも別々に行動しなくて済むように一緒に楽しめるようにしている。

 試着品を提供するブランドにもメリットがある。一つの空間でブランドをまたいでショールーミングすることで新規顧客の獲得や購買動向など様々な情報を得ることができる。今後、参加ブランドも増やしていくほか、出店していないブランドや、期間限定企画なども計画していく。

 さらに、ららぽーとTOKYO-BAYの事例を起点に「試着スペースと計測のみ」などサービスを切り出しパッケージ化して、他の施設への横展開も見据えている。

 ウィズコロナ時代を迎えて様々な価値観や消費行動、人の流れが大きく変化した。ECサイトの利便性に多くの人が気づき、またリアルを補完する様々なオンラインサービスのテクノロジーが生まれ、成長している。だが、商業施設はリアルの場があってこそ。改めて実店舗にわざわざ足を運ぶ価値、その空間で何を体験できるか、どう過ごせるかが問われている。

 ららぽーとクローゼットのような新たな体験を生むスペースは、様々な施設で生まれていくであろう。

商品受け取りカウンターと洋服のお直し専門店を併設し、その場で調節も可能に

(繊研新聞本紙21年5月7日付)

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