16年春夏リバティーフェアーズのニューヨーク展は、今まで以上に日系の出展が増えた。刺し子やインディゴなど和の素材が注目される一方で、撥水(はっすい)性や裏地のメッシュなどの機能性が好評だったブランドも目立つ。(ニューヨーク=杉本佳子通信員)
今回、初出展した「五大陸」。現地に出向いた馬場昭典オンワード樫山社長は、西陣織のネクタイをミラノの「バルデッリ」に138本卸したところ、2週間で半分が売れたため、米国でも反応をみたいと出展に至ったいきさつを説明した。「手ごたえを感じた。取引先を決めていきたい」と馬場社長。スーツの美しさも来場者の目を引き、個人買いしたいという要望も多かったという。
五大陸に隣接して出展した「Jプレス」は、「ヨークストリート」を統合して見せた。ノーフォークジャケットやバルマカーンコート、シアサッカーのスリーピースなど、トラッドの王道的なアイテムが、クリーンで安心感があると好評だった。ブルー系ストライプとグレー系ストライプを接ぎ合わせたクレリックシャツ(104㌦)など、さりげない変化をつけた商品もよかった。
「カプセル」展から移ってきた「ブルーブルージャパン」は、リバティーの客の方が相性がいいという。刺し子のジャケット(2万1450円=卸価格)は、見たことのない素材と評価された。パッチワークのジャケットやスーベニアジャケットも好評だった。
「コロモ」は、刺し子やパッチワークを入れたヘンリーネックのTシャツ(46㌦50㌣)、藍染めのソックス(12㌦)のほか、絣織りのシャツ、猫と漢字をプリントしたTシャツ、デニムと先染めストライプでリバーシブルに仕立てたベストに人気があった。
「カトー・バイ・ヒロシ・カトー」は、ジェンダーニュートラルの流れを受けてか、小花プリントのボタンダウンシャツ(67㌦40㌣)が良い。セルビッジデニムを使った軽量な5ポケットのスリムなパンツは、普通のジーンズより涼しく着られると好評だった。米国では、「アメリカンラグ・シー」「フレッドシーガル」「ロンハーマン」など西海岸中心に卸す。
「シャトルノーツ」は、カラフルなリンゴのプリントをのせた「レクセル」100%の開襟シャツ(71㌦)が特に良かった。コットン・シルクのインディゴシャツ、ロゴとリンゴ柄をワンポイントで入れたインディゴのトップ染めのTシャツ、シルクネップのオックスフォードのシャツも好評だった。
「ナリフリ」は、カムフラージュプリントをのせたメッシュの裏地と三つの内ポケットを付けたナイロンのブレザー(小売価格500㌦くらいを想定)がデザイン、素材感、機能性の3拍子揃っていて、旅行用にもいいと人気があった。ディテールにこだわるバイヤーが増えているという。
「スティルバイハンド」は、バンドカラーのコットンシャツ(80㌦)のほか、メッシュの裏がついたサイクリストジャケットとショーツなど、クリーンでシンプルなものがいい。アウターは、撥水性があるかなど、機能性を聞かれることが多かった。
「バービンユニフォーム」は、定番のカラフルなニットジャカードのジャケットに加え、同系色のジャカードのフーディ(133㌦)、スラブ糸を入れたプルオーバー(117㌦)など、表面変化のある無地ライクなものも良かった。
「ティージー」は、スラブコットン100%のTシャツ(42㌦50㌣)が、手触りが良いと人気。特に好評なのは生成りとラベンダー。日本製もセールスポイントになった。
「ファガッセン」は、スキニーのクラッシュデニム(185~210㌦)が注目され、特に白が良い。
ラスベガス展に7~8回出た後ニューヨーク展に初出展した「ユービック」は、ラスベガス展よりも人が来ていると話す。ベジタブルタンニンレザーを使い、東京の職人が手縫いでつくる工程を動画で見せた。ハイカットの靴(220㌦)が特に良かった。
「インフィールダーデザイン」は、岡山にあるプロ選手用の野球帽専門の工場でつくった帽子(37㌦)が、仕様がしっかりしていて大人っぽく仕上がっていると注目された。
2年前にスタートした「マキャベリック」は、高密度のナイロンを使ったバックパック(50~100㌦)を見せ、独自に開発した白が特に好評。中国産だが、日本人がコントロールし、いい素材を売れる価格でつくることをモットーにし、ディテールにも凝っている。