欧州ネット企業が探る実店のさじ加減

2015/05/22 05:58 更新


 オンラインショップとアートや音楽、ファッションを融合した予約制の実店舗を有するコンセプトストア「LN-CC」(レイト・ナイト・カメレオン・カフェ)が、改装・オープンした。

 同店は10年9月、セルフリッジやオーキニなどでバイヤーの経験を積んだジョン・スケルトン氏が創業した。14年2月には、ミラノを拠点とするオンライン販売スペシャリストのザ・ラベル・グループが買収。同グループの共同創業者、クリスチャン・ムサド氏がCEO(最高経営責任者)に就任した。スケルトン氏はクリエーティブディレクターとしてバイイングを継続し、5周年を前に今回の本格的な改装を行った。

◇一切置いていなかったレジを新設し、より店らしく

 クリエーターのアトリエが集まる東ロンドンの旧工業ビルの地下1階に実店舗はある。その入り口は、これまで同様に店舗とは思えない裏口のような外観のまま。店の心臓部といえる、いくつかの小部屋をつなぐ中央のトンネルのような空間は、これまでの木目調からフューチャリスティックな白いインテリアに一新した。他の部屋も無機質なグレーを基調にしながらも、明るい印象が強まった。センサーで開閉する木製のワードローブなど、ハイテクを導入しながらも温かみのある什器が置かれている。

店内にはいる白いトンネルのような空間だけが見える。両脇に小部屋が並ぶ
店内にはいる白いトンネルのような空間だけが見える。両脇に小部屋が並ぶ

 今回新しく加わった「コンバージョンルーム」は、顧客が選んだ服をゆったりとした空間で試着ができるラウンジで、これまで店内のどこにもなかったレジカウンターが設置された。「ショールーム的なイメージから、より店としての機能を高めた」とスケルトン氏。

◇商品構成は、”過去、現在、未来”切り

 一方、オンライン販売を中心とする商品は「過去・現在・未来」を新コンセプトに添えた。「過去」はデザイナーのアーカイブ商品で、メンズ、レディス各4ブンンド、各100アイテムでスタート。「現在」は現行の15年春夏シーズンのもので、「ランバン」「マルニ」「バレンティノ」から「JWアンダーソン」「ロクサンダ」といったロンドンの注目ブランド、アントワープの「カプラ」などの新進ブランドまで、メンズ、レディス各50ブランドが揃う。

 「未来」はサステイナブルやエシカルに目を向けた商品で、オーガニックやリサイクル素材を使った服や靴、サングラスなどが揃う。15~16年秋冬からは、全商品において毛皮や爬虫(はちゅう)類などのエキゾチックスキンの商品は扱わない方針で、よりサステイナブルなビジネスを目指す。

 現在オンライン販売はアメリカ、アジアが優勢で、英国はその次。アジアは中国が順調に伸びている。現地スタッフは置かずロンドンで統括しながらも、日本語、中国語を含む5カ国語で対応している。(ロンドン=若月美奈通信員)

新設されたコンバージョンルーム
新設されたコンバージョンルーム


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