「愛の賛歌」を掲げる大阪・関西万博のフランス館のゴールドパートナー、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンが五つのメゾンを通じて展示を担う。「ルイ・ヴィトン」と「ディオール」が常設展示、「セリーヌ」と「ショーメ」は期間限定の企画展、「モエ・ヘネシー」はホスピタリティーの役割を担い、ビストロ形式でシャンパンなどを提供する。同グループは唯一、「常設、企画、もてなし」にわたり参加する。
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ルイ・ヴィトンは建築家重松象平と協業する「85のトランクの図書館」と、メディアアーティスト真鍋大度による映像インスタレーションを軸に、職人技と未来像を伝える2室構成。ディオールは3色のバージャケットに始まり、白いトワルの展示、香水ボトルの3Dプリントなどナタリー・クリニエールが手掛ける空間に日本人作家の作品を展示する。セリーヌは漆工芸とアイコン「トリオンフ」を対話させた展覧会(4月13日~5月12日)、ショーメは自然との共鳴がテーマの展示(8月28日~10月13日)を予定。
「私たちはフランス企業だが、日本に深く根ざした存在でもある」。そう語るのは、日本と長い関係を築いてきたノルベール・ルレLVMHジャパンプレジデント。万博への参加を「一つの愛のかたち」と捉える姿勢は、文化と産業を架け橋とするフランス館のテーマとも自然に響き合う。
マルクアントワーヌ・ジャメLVMH事務総長は「私たちは単なるラグジュアリーの窓口ではなく、現代のフランスを伝える存在でありたい」と語り、五つのメゾンそれぞれが「愛」という軸から異なる世界を提示することで、フランスの多面性と創造性を届ける意図を示した。
(パリ=松井孝予通信員)