松屋銀座本店は、京都府与謝野町で織られた「丹後ちりめん」を挟み込んだオリジナルのグリーティングカード「吉祥花伝KYOTO」を7月23日に発売する。松屋の地域共創プロジェクトの一環で、地域産品の魅力を広く周知し、日本の美が凝縮された手軽な土産として国内外の観光客向けに販売する。
(松浦治)
吉祥花伝は、縁起の良い柄(吉祥柄)が描かれた古いきものの古裂(こぎれ)と和紙のフレームを組み合わせたグリーティングカード。今回の発売に先立って、松屋と京都府与謝野町は7月4日に連携協定を締結しており、同町で生産された丹後ちりめんを使った。
松屋が同商品を企画したのは、伝統の継承と新たな価値創出が狙い。丹後ちりめんは、京都府北部の丹後地方で300年以上にわたって受け継がれてきた日本独自の絹織物だが、近年は織元の減少や技術継承の課題が深刻化していた。
きものの需要減少という課題に対して、丹後ちりめんの活用範囲を広げる方法としてグリーティングカードを製作した。日本の伝統美を手軽に持ち帰ることができる土産として、国内外の観光客にアピールし、伝統工芸の新たな価値の創造を目指す。デザイン、織り、染め、和紙加工など製作のほとんどを京都府内で実施した。
今回のプロジェクトでは、吉祥花伝ブランドを企画・製造するエブル(東京)と協業した。同社は金沢美術工芸大学の工芸科卒の同級生3人が21年に創業し、「文化芸術の継続と発展」を目指して自らクリエイティブを生み出しながら事業を創出している。
グリーティングカードは全5柄10種類で、各税込み2640円。伏見人形をあしらった「京玩具尽くし」をはじめ、桜モチーフ(桜霞御所解)や、鶴と亀(鶴亀京更紗)などの図案デザインを染色した。同一の3柄の風呂敷(2750円)も用意する。




同店の1階正面口プロモーションスペース(8月5日まで)、7階ギフトラウンジなど(8月19日まで)期間限定販売するほか、1階正面ショーウィンドーなど11カ所で装飾する。
松屋は日本各地で継承されている伝統工芸・産業・文化を絶やすことなく新たな機会創出と発展へつなげることを目的としたプロジェクトを20年に発足しており、今回の地域連携もその一環。自治体と連携し、地域ブランディングや地域への交流人口増加を目指す。これまで41の地域共創プロジェクトを企画している。松屋銀座本店で使用した装飾物を全国各地の商業施設などに貸与し、持続可能な事業として推進する。