《めてみみ》技術と物と若者と

2018/05/24 05:30 更新


 活況な割に北陸産地の生産量が伸びていない。化合繊中心の北陸三県(福井、石川、富山)の17年のテキスタイル生産は織物が前年比1.2%減と3年連続の微減だった。

 蝶理と北陸産地の17年度の繊維取引も前年より1億円増の251億円と伸び悩んだ。国内の衣料品向けや中東民族衣装向けが厳しいことに加え、「生産スペースがタイトになっている」と伊勢田長生蝶理北陸支店長。特にカーシート織物は前年比30%と伸びた。「ニーズはもっとある」と取引先に生産増強を依頼するが、実現は簡単ではない。背景には人手不足もあるらしい。設備はあっても人手が足りず動かせない状況もあるという。

 北陸新幹線が開業したのが15年。東京~金沢間が約2時間半と身近になり観光客は増えたが、若い人の流出も増えているようだ。

 10月に北陸ヤーンフェアが金沢市内で開かれる。今回から主催が石川、福井の両繊維協会と繊維リソースいしかわに変わり、新たなスタートを切る。以前の同フェアで、作業着を着た多くの若者が出展社のブースを回り、熱心に商材に触れていたのが印象的だった。バイヤー中心の通常の合同展では見ない光景だからだ。素材販売の拡大はもちろん大事だが、多くの優れた商材や技術が集まり、若者を始めたくさんの人が触発される有意義な場所になれば良い。




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