《めてみみ》名残りの月

2018/09/18 06:24 更新


 24日は中秋の名月。旧暦8月15日の夜を十五夜と呼び、この日の月が1年で一番美しいとされている。十五夜からほぼ1カ月後の旧暦9月13日の十三夜の月は名残月(なごりのつき)。満月の2日前の少し欠けた晩秋の月も日本人は愛してきた。中秋は満月を楽しみ、晩秋は欠けた月に秋の名残りを重ねる。

 江戸時代は十五夜に月見をしたら、十三夜も同じ場所で月見をしないと「片見月」となり、縁起が悪いとされた。由来は定かではないが、十五夜の客を翌月の十三夜にも呼び込もうとする江戸商人の集客戦略だったのかもしれない。

 現代の10月の集客行事といえば仮装・コスプレイベントとして急速に普及したハロウィーン。商業施設は店頭演出や様々なイベントでムードを盛り上げ、普段はコスプレに無関心な人たちも、仮装した自分の姿をSNSにアップするために魔女の衣装やカボチャのアクセサリーを買い込む。

 ハロウィーンが終われば11月のブラックフライデー、12月のクリスマス、新年の初売りと続く。ハロウィーンは古代ケルト人の秋の収穫祭を起源とし、ブラックフライデーは米国の感謝祭翌日からのセールにちなむ。もちろんクリスマスはキリスト教の大切な祭典。十三夜を商売につなげたように、歴史や文化、国境を越え、様々なお祭りや風習が商機につながっている。



この記事に関連する記事