《めてみみ》旅路のはての

2020/06/01 06:24 更新


 細長い列島なので地域によって違いはあるが、今日6月1日は衣替えの日。古い歌だがくちずさんでしまうのが「古い上衣(うわぎ)よ さようなら」という一節。カラオケで年配者が熱唱するのを聴いた読者も多いと思う「青い山脈」の2番の冒頭。そして「さみしい夢よ さようなら」と続く。

 第2次大戦の喪失や悲しみがまだ癒えない時期に発表された。緊急事態宣言が解除された今と情勢は違うけれども「雨にぬれてる やけあとの 名も無い花も ふり仰ぐ」の情景は、コロナ禍で咲き誇る花々と、これから立ち向かわなければならない困難な地平に重なる。

 歌詞には「旅」という言葉が3回出てくる。自粛中はもちろん、終息後もしばらくは出来そうにない海外旅行の気分を楽しませてくれたのがユーチューブ。自宅でよく視聴したのは中国人ユーチューバーによる「旅行記録片我去看世界」(旅行記録動画私は世界を見に行く)の「朝鮮世界」編。日本人が簡単には行けない国を延々と撮り続け、日本のメディアでは知ることがなかった情報に触れられる。

 リアルな旅行に行けないから、気候の違う地域に行く際に必要だった服を買うこともなくなった。再び歌に戻る。コロナとの格闘は「旅路のはての そのはての」となりそう。いくら長い旅程でもいつかはゴールがあると信じたい。



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