《めてみみ》翻弄される台湾

2026/02/02 06:24 更新NEW!


 昨年末、台湾に滞在している時に、中国の大規模な軍事演習と重なった。台北の街は特に大きな変化が無かったが、テレビでは連日特番を放映する。有事に備えて戦車が大通りを行きかう高雄の映像などが何度も流れる。穏やかな印象の強かった台湾が、大きく変わっていくような予感がした。

 中国にすれば台湾統一は建国以来の目標であり、旗を降ろすわけにはいかない。一方、台湾は独自の憲法、自由や民主主義体制などを維持するために、中国の言い分を簡単に飲むわけにはいかない。もちろん、民主主義が根付いただけに、中国との関わり方には多様な意見があり、選挙でも常に声が分かれる。

 昨年末から、日本でも台湾有事に関わる議論が増えてきた。賀詞交歓会の経営者の言葉にも台湾有事の話題が少なくない。ただでさえ日中関係がぎくしゃくするなか、海外サプライチェーンの見直しやインバウンドの減少など懸念は多い。この上に万一の事態が起きれば、日本の経済は一気に悪化する。

 台湾でこの話題は持ち出しにくい。当然ながら取材時の雑談などでもタブーである。親しい知人は小声で言う。「世の流れに庶民が逆らうことはできないでしょう。ただ、どうなるにせよ、武力紛争だけは絶対に避けてほしい」。ウクライナや中東の現状を見るにつけ、何よりも大事な言葉だと思う。



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