《めてみみ》ロレックスマラソン

2022/06/21 06:24 更新


 「ロレックス」が買えないのだそうだ。言わずと知れたスイスの高級時計だがここ数年、需要が供給を上回る状況が続き、入荷しても即完売。予約購入はできないらしく、定価で買うなら頻繁に正規販売店に足を運ばないといけない。

 目当てのモデルが入荷するタイミングと来店が偶然重なるまで何度も通うことを「ロレックスマラソン」という。買えるまで数百回と通うこともあるし、数年かかることもあるからだ。

 この荒行に身を投じている40~50代の知人によれば、店員さんに顔を覚えてもらおうと、話しかけたり、お土産を渡したり、食事をごちそうする人までいるという。100万円超の予算を用意する以外に、手間も時間もかけなければ入手できないわけだ。

 そこまでしてロレックスが欲しい人が後を絶たない理由は、デザインや品質、機能の高さもあるが、最近でいえば資産価値が高いからだ。中古品買い取り価格が販売時を上回ることは珍しくなく、人気モデルの中古は倍以上のプレミア価格で売られている。

 時間を知るだけなら携帯電話で事足りる。量販店に行けば腕時計など数千円で買える。そう言ってしまえばそれまでなのだが、欲しいとか所有したいと思う感情は理屈では説明できない。そういう魅力を放つ商品やブランドは昨今のインフレとは関係なく売れ続ける。



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