《めてみみ》経済活性の踊り場

2022/07/06 06:24 更新


 6月末の店内飲食の解禁から人出と活気が戻ってきた上海。7月4日には月曜日らしい通勤ラッシュも復活し、朝礼に間に合うよう早足でオフィスに向かう人が目立った。長らく運休だった地下鉄2号線の虹橋空港駅と高鉄駅の乗降が再開し、国内出張が解禁された。中国の入国隔離措置も大幅に緩和され、一気に経済活性を重視する政策が勝ってきた。

 しかし、記者の周辺の上海人の表情は淡々とし、明るいとは言えない。出歩いて感染すれば隔離されるし、住区全体に迷惑をかけるため、行動は自重気味。さらに2カ月間も経済が滞っていたため、その影響がどこに出るかも懸念する。

 すでに一部の企業では従業員に秋冬で2カ月分を取り戻す号令を出しつつ、「一部給与の支払いの先延ばし」を実施している。一方で、中小企業や個人商店の資金繰りの悪化による倒産・廃業も大いに気がかりだ。特に金融機関も動き出したことで「ここから1~2カ月先が心配」と言うのが聞かれる。

 貿易輸出額の2ケタ増が好材料に見えるが、実際は原料・輸送・物価高で利益は薄く、製造業も内実は厳しいとされる。となると、人の往来を活発にして、街にお金を落としてもらう内需活性が次の一手にならざるを得ない。「開放へ政策転換は必須、しかし感染は憂慮」という踊り場を迎えている。



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