8月第1週の定店取材で都心のセレクトショップに聞いたところ、今年の夏はセールが全く盛り上がらなかったそうだ。かといって客が減っているわけではない。売上高もコロナ禍前にはまだ届いてはいないが、昨年や一昨年よりは伸びている。
ユナイテッドアローズは去年まで6月中旬から先行セールを始めていたが、それをやめて、7月第2週の本セールまで値下げ販売を抑えた。ビームスは路面店も商業施設内の店も全て本セールは7月28日スタートにした。
当然の帰結として6月中旬の買い上げ客数は減ったが、猛暑となった6月末から7月初旬はちゃんと夏物が売れた。遅らせたセール中もそれなりに来店があり、売れたようだが、値引き目当ての客の波は思いのほか早く引いた。
8月の最終セールも今年は早めに切り上げる店の方が多い。ビームスはカジュアル旗艦店の原宿店独自の取り組みとして、7月から若年層狙いの秋物販売をスタートした。好調に推移し、8月いっぱい継続するという。
秋物投入が8月中旬になる他のセレクトに聞くと「夏物も秋物もセールだからではなく、今必要だから買うというお客様が多い」。足並みを揃えて大規模なセールを仕掛けなくても、欲しいものがあれば客は買う。コロナ禍の2年を経て売り手もそのことに手応えを感じ始めたようだ。