《めてみみ》黒い服の訳

2022/08/25 06:24 更新


 上野動物園にパンダを見に行ったら、猛暑にもかかわらず女性を中心に黒の服装の人が数多く並んでいた。パンダの毛は白と黒だから、好きなミュージシャンと同じ色の服を着てライブに参加するファンと同様、黒の服装はパンダファンたちが観覧する際の定番スタイルだと思った。

 だとすれば、白でも良いはず。調べた結果、黒の服装が多いのはガラスに囲まれたパンダ舎で写真撮影する際に、黒の服であれば、ガラスの反射が抑えられ、自身が映り込みにくいためであることがわかった。そういえば、4月に訪れた和歌山県のアドベンチャーワールドではパンダは屋外での公開が多く、黒い服の客はあまり見かけなかった。

 パンダを観覧する時に黒の服を着るのは、第一義的にはガラスの反射を抑え、うまく撮影するという「実用的」な理由だ。パンダは反射を嫌がるというから、黒の服を着るのはファンの人たちのパンダへの愛情表現なのかもしれない。

 黒の服装の観客には単に実用としてだけでなく、レースやプリーツのブラウスやワンピースなどをうまく着こなしたり、黒の雑貨とコーディネートするなどおしゃれな人たちが大勢いた。パンダのために、服装を色々考え、服選びを楽しむ人たちも多いのだろう。様々なモチベーションが新たなファッション需要とビジネスチャンスにつながる。



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