23年春夏ウィメンズ・ファッションウィークはニューヨーク、ロンドンに続き、ミラノに舞台を移した。毎年、この時期は9・11の米国同時多発テロの追悼イベントのため、ニューヨークは警備が厳しくなり、ファッションイベントにも少なからず影響を与える。今年はエリザベス女王の国葬のため、ロンドンも大幅にスケジュールを変更することになった。
ロンドンではパーティーやイベントが延期・中止となったほか、デジタル発表のスケジュールが変更された。世界に向けたライブ配信が予定されていたプロジェクトも中止された。君主の死去に対し、英国のブランドが哀悼の意を表明して、スケジュールの変更に協力した。残念ながら規模の縮小もやむを得ない。
気になったのは、英国ファッション協会の報道に対しての要請である。ショーやプレゼンでの新作発表については通常通りの報道を促す一方、ストリートスナップなどは国葬後まで掲載の自粛を求めた。国によって状況は違えども、主催団体が報道の在り方に規制を求めることが良いとは思えない。
これまでのところ、春夏の傾向は前シーズンから続く肌見せのランジェリースタイルが広がっている。多様性やサステイナブル(持続可能な)に配慮した物作りも継続している。ミラノ、パリで新しい流れが生まれるか注目したい。