臨時国会がスタートした。岸田文雄首相は所信表明演説で「日本経済の再生が最優先課題」とし、物価高や円安対応を軸に総合経済対策を10月末までにまとめ、今年度の第2次補正予算案を今国会に提出すると話した。
コロナ禍も約2年半。業績が悪化している企業は依然多いが、政府の経済対策は足元の厳しい状況を支援する施策からコロナ禍後も見据えた新しい取り組みへの支援に軸足を移しつつある。
20年3月に開始した政府系金融機関による中小事業者向けの実質無利子・無担保融資の申し込みを9月末に終了したのは、その典型だ。中小企業庁によると、この終了を決めたのは「足元の申し込み件数がコロナ禍前の平時と同程度に落ち着いてきた」ため。「今後は業績が厳しい事業者支援は継続しながらも、前向きな投資を行う事業者への金融支援を強化する」という。
20年度に巨額の予算を計上しながら、休止していた旅行やイベント、商店街などの需要喚起策「Go Toキャンペーン」も名称を変えて再開される。入国制限も大幅に緩和される見込み。世の中全体がポスト・コロナに向けて動き出した。
新規事業の開始など事業再構築に意欲的な事業者が増えている。第2次補正予算では足元の厳しさに対応しながら、新たな成長戦略に挑戦する事業者の後押しを強化してほしい。