ニューヨークに今月、出張した人に聞いた話。出国前に少し現金を用意しておこうと空港の窓口で、1万円を両替すると65ドルにしかならなかった。去年の同じ時期だったら、90ドル程度あったはずなので、4割の目減りだ。
現地に着くと、すごいインフレで、ありとあらゆる物が値上がりしていた。ファストフード店でハンバーガーとポテトとコーラのセットを頼んだら12ドル。日本で同じメニューが810円なので、2倍以上だった。
予想外の寒さだったのでユニクロで何か防寒着を買おうとしたら、ダウンジャケットが79.9ドル。日本で同じ商品は6990円。内外価格差1.6倍はさすがに高いので結局、買わずに済ませた。
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は決算会見で、「(日本は)本当に経済がひどい。普通の人の生活が悪くなっている」と語った。円安についても「メリットがあるという声を聞かない。サラリーマンにも経営者にもデメリットでしかない」と断じた。
米国が金利を上げ続け、日本がゼロ金利を維持する限り、円安は続く。「構造的に転換しないと経済も社会も悪い方向に向かう」と柳井さんは警鐘を鳴らす。最近、海外に行って日本と日本人がどんどん貧乏になっていることを体感した人は、程度の差はあれ、この考えに共感するのではないだろうか。